モーターを回して、回ると電流が抑えられるしくみを学ぶ

モーターを回して、回ると電流が抑えられるしくみを学ぶ(アイキャッチ)

小さなモーターを1個、電池で回して、AI先生に教わりながら電流と電圧を測りました。

やってよかったのは、モーターを回したら電気が発生すると知れたことです。回っているモーターは、電池と逆向きの電圧を出しています。この電圧が電池の電圧を打ち消すので、回っているあいだは電流が抑えられます。

測ってみると、軸を止めたモーターには 2.039A 流れました。回っているときは 0.117A です。回ることで、電流が 17分の1以下に抑えられています。電流が少なくてすむので、電池の消耗が抑えられて長持ちします。

おことわり

これは 716 という直径7mm・長さ16mmの小さなモーターでやった記録です。数字はモーターの種類でも、電池でも、測り方でも変わります。ご自分のモーターで確かめるときは、そのモーターの説明や型番をあたってください。

今回やったこと

使うのは、直径7mm・長さ16mmの小さなモーターです。

指先くらい小さいけど、小さなドローンを飛ばせるくらいの力はあるよ。

今回使ったもの
今回使ったもの

やることは3つです。

  1. モーターを回して、電流を測る
  2. 軸を止めてみる
  3. 電池を外して、風で回してみる

モーターにビニルテープを巻いておく

あとで温度を測るので、モーターにはあらかじめビニルテープを巻きました。

なぜですか?

ぴかぴかの金属は、まわりの熱を反射してしまう。さわらない温度計だと正しく測れないんだ。
だからテープを巻く。巻いたほうは、ちゃんと測れるよ。

回す前の温度を、先に測っておきます。25.9℃ でした。これで、あとで温度が上がったら、それはモーターが出した熱だと分かります。

回っているときの電流は 0.117A

電池ボックス(単3の充電池3本)とモーターのあいだに、テスターを入れます。

電流をはかるとき:線を1か所はずして、あいだにテスト棒を入れる

電池の+ → テスター → モーター → 電池の−。ぐるっと一本道にするよ。
電流は、通り道の途中にテスターを割りこませて測るんだ。

テスターは、この電流を測れるものを使ってください。この実験では数アンペア流れます。mA(ミリアンペア)までしか測れない端子やレンジで測ると、中のヒューズが切れます。ご自分のテスターが何アンペアまで測れるかを説明書で確かめて、10Aの端子に挿してから始めてください。

回っているとき。テスターの表示は 0.117A
回っているとき。テスターの表示は 0.117A

スイッチを入れると、モーターが回りました。電流は 0.117A です。これが、何も付けずに回っているときの電流です。このあとの数字は、全部これと比べます。

プロペラを付けると 0.835A

モーターの軸にプロペラを付けて、もう一度回します。

プロペラを付けて回したとき。0.835A
プロペラを付けて回したとき。0.835A

電流は 0.835A になりました。

プロペラが空気を押すぶん、モーターは回りにくくなる。
仕事が重くなるほど、電流は増える。0.117A → 0.835A、およそ7倍だ。

電流が7倍になると、電池が減る速さもおよそ7倍になります。プロペラを付けて回すだけで、電池はそれだけ早く減ります。

軸を止めると 2.039A。回っているあいだは、17分の1以下に抑えられていた

プロペラを外して、回っているモーターの軸を止めてみます。

最初は指でつまみました。熱くて、つかんでいられませんでした。数字を読む前に離してしまいました。

指だと、数字を読む前に離してしまうね。道具でしっかり止めよう。

そこで、指のかわりにピンセットで軸を止めます。

ピンセットで軸を止めたとき。電流は 2A をこえている
ピンセットで軸を止めたとき。電流は 2A をこえている

軸を止めると 2.039A。回っているときは 0.117A。回っているあいだは、電流が17分の1以下に抑えられていました。

軸を止めると、抑えるものが無くなって、電流がそのまま流れます。電池は早く減り、モーターは熱くなります。

なぜ回ると抑えられるのかは、あとで分かるよ。

止めるのは10秒までにしてください。

止めるのは10秒まで。押さえ続けると、モーターが焼ける。

止めたあとの温度

止めた直後に、温度を測りました。

軸を止めた直後のモーター。34.5℃
軸を止めた直後のモーター。34.5℃

止めた直後の温度は 34.5℃。止める前は 25.9℃ だったので、8℃以上、上がりました。短い時間止めただけで、これだけ熱くなります。押さえ続ければ、モーターは焼けます。

測れるのは外側だけ。中のコイルは、もっと熱くなっているよ。

電池を外して回すと、電圧が出る

ここからは電池を外します。テスターを電圧に切り替えて、赤い線を「V」の穴に挿しかえます。モーターの2本の線にテスト棒を当てて、指で軸を回してみます。軸だけでは回しにくいので、プロペラを付けました。

電圧をはかるとき:電池は外す。モーターの2本の線にテスト棒を当てる
電池を外して、指でプロペラを回したとき。0.01V
電池を外して、指でプロペラを回したとき。0.01V

テスターの数字が、わずかに動きました。0.01V です。電池をつないでいないのに、電圧が出ています。モーターは、回すだけで電気を作ります。

指で回すくらいでは、遅すぎるんだ。速く回すほど電圧は上がるよ。

LEDをつないで、風で回す

LEDの回で光らせた赤いLEDを、モーターの線にじかにつなぎます。電池はつないでいません。

まず、指でプロペラを回しました。LEDは光りません。

LEDが光るには、もっと高い電圧がいる。もっと速く回そう。

そこで、エアダスター(強い風が出る電動の道具)の風をプロペラに当てました。

プロペラが飛ぶことがある。顔は近づけないで。

風で回すと、LEDが光った
風で回すと、LEDが光った

光りました。風を少しずつ強くしていくと、1.6V あたりで光り始めて、風をいちばん強くすると 2.1V でした。

風で回して、電気を作る。風力発電と同じしくみだよ。
速く回すほど、出てくる電圧は高くなる。

電池で回っているモーターも、回っているあいだ、同じように電圧を出しています。これが、次の「なぜ」の答えになります。

なぜ、回ると電流が抑えられるのか

ここまでに測ったことを、つなげます。下の図は、再生ボタンを押すと動きます(34秒・音は出ません)。軸を止めているところから、回り出すところまでを描いています。

青=電池の電圧。オレンジ=回っているモーターが出す、逆向きの電圧。

モーターは、回すと電圧が出たよね。

軸を止めているあいだは、その電圧が出ない。電池の電圧がそのまま届くから、電流は 2.039A 流れる。

軸を離すと、モーターが回り出す。回ると、電池と逆向きの電圧が出る。
この電圧が、電池の電圧をほとんど打ち消すんだ。

だから、電流は 0.117A まで下がる。

だから、回っているあいだは電流が17分の1以下ですんでいたんですね。

回り出すときは大きな電流がいるけど、回ってしまえば少しですむんだよ。

最後にひとつ。この「回っているモーターが出す、電池と逆向きの電圧」には名前がある。逆起電力(ぎゃくきでんりょく)っていうんだ。
もっと詳しく知りたくなったら、この言葉で調べてみて。

だから、どうなるか

  • 回っているとき:逆向きの電圧が出る → 電流が抑えられる(0.117A) → 電池の消耗が抑えられて、長持ちする
  • 止まったとき:逆向きの電圧が出ない → 電流がそのまま流れる(2.039A) → 電池が早く減り、モーターが熱くなる(34.5℃)

ドローンを作るうえで、これが何を意味するか

  • ふつうに飛んでいるあいだは、モーターが回っているので電流が抑えられます。電池の消耗も抑えられます
  • プロペラが草や髪にからんで止まると、電流が抑えられなくなります。そのモーターには 2A以上 が流れ続けます。モーターが焼ける原因です
  • ドローン用の電池は単3電池より力があるので、止まったときの電流はもっと大きくなります

次回は、このモーターをマイコンから動かします。

同じことをやってみたい方へ

順番はこれだけです。

  1. 電池ボックス → テスター(10Aの端子)→ モーター → 電池ボックス と一周につなぐ
  2. スイッチを入れて、数字が落ち着いてから電流を読む
  3. ピンセットで軸をつまんで止めて読む。10秒で離す(指でつまむと、熱くて持っていられません)
  4. 離した直後、さわらずに測れる温度計をモーターに向ける(モーターにはビニルテープを巻いておく)
  5. 電池を外し、テスターを電圧に切り替えて(赤い線は「V」の穴)、モーターの線に当てたまま手で軸を回す
  6. その線にLEDをつないで、風で回す(指で回すだけでは光りませんでした)

mAの端子では測らないでください。ヒューズが切れます。電流を測るつなぎ方のまま、テスト棒を電池の+と−にじかに当てないでください。ショートします。プロペラを付けた状態で軸を止めるのも、やめておいてください。

使ったもの

物 私が使ったもの 値段のめやす
モーター 716 コアレスモーター(直径7mm・長さ16mm・軸0.8mm)4個入り・プロペラ付き 約1,200円
プロペラ 31mm 3枚羽・軸の穴0.8mm・12枚入り 約1,800円
電池ボックス 単3×3本・スイッチ付き・リード線付き 約500円
電池 単3の充電池(エネループ)3本 手持ち。乾電池でも回りますが、数字が安定しません
LED 赤色LED。光り始めが約2V、流せる電流の上限が30mAのもの(LEDの回で使ったのと同じ) いろいろ入った詰め合わせで数百円
ワニ口クリップ付きコード 両端がワニ口になっているもの 数百円
テスター MAYILON HT118E(10Aの端子で測定) 10Aまで測れるものなら何でも。値段は幅があります
温度計 非接触の放射温度計 約2,000円
ピンセット 先の細いもの。軸をつまんで止めるのに使いました 手持ち
ビニルテープ 温度を測るほうのモーターに巻きました 手持ち
エアダスター HiKOKI RA12DA(風の強さを変えられるもの) LEDを光らせるところで使いました。電圧が出るのを見るだけなら、指で回すだけでも足ります

テスターと温度計とエアダスターを別にすれば、この回のために買ったのは3,500円ほどです。