前回、電池で回したモーターを、今回はマイコン(マイクロコンピューターの略)で回したり止めたりしました。
マイコンとモーターのあいだに電気のスイッチ(FET・フェット)をはさむと、2秒回って2秒止まる、をくり返せました。
今回おぼえてほしいのは、この3つだけ。
・マイコンは、合図を出す係(マイコン自体は、モバイルバッテリーの電気で動く)
・FETは、その合図で電気の通り道を開け閉めするスイッチ
・モーターを回す電気は、電池から来る

おことわり
これは私が手元の1台でやった記録です。数字は部品によって変わるので、実際に試すときはご自分の部品の説明書を確認してください。
マイコンは、合図を出す部品

マイコンに、ブレッドボードに挿すためのピンをはんだ付けしました。使ったマイコンは XIAO ESP32C3(シャオ)です。
マイコンって、何をするものなんですか?
マイクロコンピューター、つまり指の先くらいの小さなコンピューターだよ。パソコンからプログラムを書き込むと、そのとおりに動く。
まわりに並んでいるピン(足)から、プログラムどおりに電圧を出したり止めたりできる。これが合図になるんだ。今回は「足1本から2秒出して2秒止める」というプログラムを書き込んだ。
私は昔、電気の知識がまったく無かったころ、マイコンに作りかけのものをつないでパソコンまで壊したことがあります。なので今回は、プログラムを書き込んだらUSBを抜いて、マイコンはモバイルバッテリーだけで動かしました。つなぎ間違えても、パソコンまで巻き込みません。
マイコンの足だけでは、モーターは回らない
さっき、マイコンの足から電圧を出せるって言っていましたよね。それなら、その足にモーターをつなげば、普通に回るってことですか?
マイコンの足1本とGNDに、モーターの2本の線をつなぎました。モーター用の電池はつないでいません。モーターの線と並べて、ダイオードという部品も1本挿しました。
今取り付けたダイオードは、モーターを止めた瞬間に生じる大きな電流の跳ね返りからマイコンを守る保険だよ。くわしくは次回やるね。

モーターは回りませんでした。
マイコンの足は合図を出すための足で、モーターを回すほどの電気は出せないんだ。足1本から出せる電流の目安は、説明書で40mA(0.04A)。モーターを回すには、このあと測るとおり0.82Aいる。約20倍だね。
だから、モーターを回す電気は電池からもらう。マイコンは合図だけを出す。その合図を受けて電気の通り道を開け閉めするのが、FETなんだ。
⚠ 40mA は、私が測った値ではありません。マイコン(ESP32-C3)の説明書に書いてある目安です。上限をこえて流し続けると、マイコンの足が傷むことがあります。まねしないでください。
FETは、合図で開け閉めするスイッチ

FETは「フェット」と読む。電気で動くスイッチだ。
名前は Field Effect Transistor(電界効果トランジスタ)の頭文字。
トランジスタは、小さな合図で大きな電気を開け閉めする部品。
電界効果は、電圧の力で、触れずに開け閉めすること。
足は3本。1本が合図の足、2本が通り道の足。
合図の足に電圧がかかると、通り道の足2本がつながる。
マイコンの合図で押されるスイッチだと思えばいい。
配線は、2つの回路に分けて考えます。



モーターにプロペラを付けるのを忘れたので、写真では回っているのが分かりにくいです。すみません。
回りました。マイコンの合図に合わせて、2秒回って2秒止まる、をくり返しました。
モーターの回路に流れていたのは0.82A
電池とモーターのあいだにテスターをはさんで、電流を測りました。
必ず10Aの端子で測ります。mAの端子だと、テスターのヒューズが切れます。

| どこ | 電流 |
|---|---|
| モーターの回路(実測) | 0.82A |
| マイコンの足1本の目安(説明書の値) | 0.04A(40mA) |
マイコンの足からは出せない0.82Aが、FETを開け閉めするだけで動かせた。これがFETを使う理由だよ。
まとめ



・マイコンは、合図を出す係(マイコン自体は、モバイルバッテリーの電気で動く)
・FETは、その合図で電気の通り道を開け閉めするスイッチ
・モーターを回す電気は、電池から来る
だから、マイコンの小さな合図だけで、モーターを回したり止めたりできるんだ。
ドローンを作るうえで、これが何を意味するか
- ドローンはモーターが4個です。4個ぶんのFETが要ります。
- マイコンは合図を出すだけなので、足1本で、FET1個(モーター1個)を動かせます。
次回は、この開け閉めを速く・細かくやって、モーターの速さを変えます。
同じことをやってみたい方へ
- 部品をさわる前に、静電気を逃がす。蛇口など、むき出しの金属にさわってから始めます。組み始めてからは、ブレッドボードのGNDの列に先にふれてから部品をさわります。
- マイコンにプログラムを書き込んだら、USBを抜く。マイコンはモバイルバッテリーで動かします。
- 電池のスイッチを切ったまま、下の配線図のとおりに挿します。マイコンのGNDと電池の−をつなぐのを忘れない。忘れると動きません。
- マイコンにバッテリーをつなぎ、電池のスイッチを入れる。2秒回って2秒止まれば成功です。
- 電流を測るときは、テスターを電池とモーターのあいだにはさみ、10Aの端子で測ります。

マイコンの足にモーターを直接つなぐのは、やらないでください。マイコンの足が傷むことがあります。
もっと知りたい方へ
FETの中で、何が起きているのか
合図の足の板と通り道のあいだには、電気を通さない薄い膜がある。だから合図の電気は、通り道のほうへは流れていかない。
合図の足に電圧をかけると、板の−が出ていって+が余る。その+に引かれて、膜の下に−が並んで橋になる。これで通り道の足2本がつながるんだ。
FETの選び方
FETには、ここまでなら流してよいという上限(定格)がある。プロペラが引っかかって軸が止まると、電流は大きく増える(前回、軸を止めたら2.039A)。だから止まったときの電流に耐えるFETを選ぶんだ。今回使ったIRLZ44Nの定格は 55V・47A だよ。
使ったもの
| 物 | 私が使ったもの | 値段のめやす |
|---|---|---|
| マイコン | XIAO ESP32C3 | 約1,000円 |
| FET | IRLZ44N(定格 55V・47A) | 数百円 |
| 抵抗 | 220Ω・10kΩ 各1本 | 詰め合わせで数百円 |
| ダイオード | 1N5819(モーターを止めた瞬間のための保険。くわしくは次回) | 数十円 |
| モーター | 第2回と同じ | 第2回を参照 |
| 電池ボックス・電池 | 単3×3本 | 約500円 |
| ブレッドボード・ジャンプワイヤ | はんだ付けをせずに配線を試すための板 | 数百円〜 |
| はんだごて・はんだ | マイコンにピンを付けるため | 手持ちのもの |
| テスター | MAYILON HT118E | 10Aまで測れるもの |
| モバイルバッテリー | マイコンをパソコンから外して動かすため | 手持ちのもの |



