原価計算をしよう!外国人技能実習生1人当たりにかかる費用

「外国人技能実習生にかかる費用っていくらなの?」

外国人技能実習生を1度に3人採用したとして、私の試算では1人当たりにかかる費用は約300万円/1年です。
試算の根拠は以下の通りです。

1度に3人採用したとして、技能実習期間は3年として、給与は2019年11月時点の全国平均900円/時としての試算
費用項目単価数量金額
組合加入費10,000円初回1回10,000円
組合年会費10,000円毎年1回×3年30,000円
JITCO会費50,000円毎年1回×3年150,000円
面接費300,000円1回300,000円
入国及び入国入管手続き費86,400円3人259,200円
総合保険37か月分23,900円3人71,700円
渡航費65,880円3人197,640円
事前教育費52,200円3人156,600円
監理費37,800円12か月×3年×3人4,082,400円
給与900円8時間×25日×12か月×3年×3人19,440,000円
社会保険20,200円12か月×3年×3人2,181,600円
支給品70,000円3人210,000円
技能検定費20,000円3人60,000円
帰国費65,880円3人197,640円
合計27,346,780円
  • 1人にかかる費用(1年あたり)・・・27,346,780円÷3人÷3年= 3,038,531円
  • 1人にかかる費用(1日あたり)・・・3,038,531円÷12か月÷25日= 10,128円

それではそれぞれの費用項目について詳しく解説していきます。

人数に関係なく発生する費用

人数に関係なく発生する費用は以下の通りです。

  • 組合加入費
  • 組合年会費
  • JITCO会費
  • 面接費

これらの費用は技能実習生の人数に関係なく納めなければならないので、人数が多いほど1人当たりのコストは少なくなります。
弊社の場合は外国人技能実習生が3名いるので、1人当たりにかかる費用は約300万円/年ですが、1人しかいない場合は約315万円/年に上がります。

組合加入費

組合加入費は、外国人技能実習生を斡旋している協同組合に加入したために生じている費用です。
協同組合に加入しなくても外国人技能実習生を受け入れることはルール上可能ですが、手続きの煩雑さや言葉の壁があったり、何より実績が無いところに受け入れ企業としての認定が下りないでしょうから、現実的には協同組合に加入せざるを得ないでしょう。

組合年会費

組合年会費は、協同組合に加入している組合員が納める年会費の事です。
毎月、技能実習生向けの母国語情報誌が協同組合から送られてきますが、それらの費用にあてられているのだと思います。

JITCO会費

「JITCO」は一般的には聞きなれないワードだと思いますが、要するに外国人技能実習生に関するルールを司っている総務的な機関の事です。
JITCOを省略する前の「Japan International Training Cooperation Organization」を直訳すると「日本国際研修協力機構」となり、国際的な技能実習・研修に協力していきますよ、という意味合いを持つ企業であることが分かります。

外国人技能実習生を受け入れる企業は、JITCOの会員になる必要があります。
弊社では協同組合を通して毎年会費をお支払いしていますが、JITCOから何かのサポートを直接的に受けているわけではないので、ただ搾取されているような気分です。

面接費

面接費用は、私が外国人技能実習候補生が生活している母国に行って面接したときにかかった費用の事です。
私の渡航費・宿泊費・食費がこれにあたります。
面接する場所によっては面接費用にばらつきが生じると思いますが、今回の試算では私がフィリピンで面接したときのおおよその実費を計上しています。

面接の必要性については企業や採用担当者の考えにもよりますが、ここでの費用を抑えるよりも、実際に会って話をして人となりを知ることのほうが重要であると私は考えます。
たとえ採用人数が1人であっても、私は現地へ行って面接をするべきだと思います。

外国人技能実習生ごとに発生する費用

外国人技能実習生ごとに発生する費用は以下の通りです。

  • 入国及び入国入管手続き費
  • 総合保険
  • 渡航費
  • 事前教育費
  • 監理費
  • 給与
  • 社会保険
  • 支給品
  • 技能検定費
  • 帰国費

毎月の給与の他に、入国手続きにかかる費用や協同組合に支払う監理費などがこれに含まれます。
支給品や給与に関しては、受け入れる企業の方針によって差がついていきます。

入国及び入国入管手続き費

入国及び入国入管手続き費は、外国人技能実習生が日本に入国するときにかかる費用です。
諸手続きを協同組合が進めてくれるので、こちらですることは何もありませんでした。

総合保険

総合保険は、技能実習生を対象にした格安で手厚い補償の保険で、協同組合を通して加入手続きをしていただきました。
補償内容は次の通りです。

補償内容保険金額(最大値)
死亡・後遺障害700万円
傷害治療費用100万円
疾病治療費用100万円
疾病死亡700万円
賠償責任3,000万円
救援者費用200万円

保証期間は37か月分で、1人当たり23,900円を1回で支払いました。

渡航費

渡航費は、外国人技能実習生が出国して日本に来るときにかかる費用です。
主に航空チケットの購入費に充てられています。

事前教育費

事前教育費は、外国人技能実習生が日本に入国してから1か月間、協同組合が運営する寮で日本の独特の文化・風習・しきたりについて教育していただく際にかかる費用です。
教育の内容は、「挨拶をする時におじぎをしなさい。」とか「人の家に上がるときは靴を脱ぎなさい。」などです。

中にはどうでも良いような内容の教育もしているのだと思いますが、外国人技能実習生が日本人とうまくやっていくには受けさせておくべき教育なのでしょう。
ただ、誰にでも「せんせい」と呼ばせるのはいかがなものかと思います。

監理費

監理費は、外国人技能実習生ごとに協同組合にお支払いする費用です。
弊社が加入している協同組合には、1人当たり毎月37,800円をお支払いしています。

協同組合からは、毎月1回、外国人技能実習生との面談に来ていただいており、日本での生活における悩みや要望などを随時解決していただいています。
また、こちらからも安全教育資料の翻訳や細かい業務指示の代弁のような様々な依頼をしておりますが、全てこころよくご対応いただいています。

給与

給与は地域によって最低賃金が異なるので、地域格差で費用に大きな差がつきます。
2019年11月時点での最低賃金で計算をしたときに、例えば東京と青森では1年で約50万円の差がつきます。

2019年11月時点 最低賃金による1年間の給与試算
【東京】1,013円×8時間×25日×12か月= 2,431,200円
【青森】 790円×8時間×25日×12か月= 1,896,000円
差額・・・ 535,200円

また、私の試算では残業・休日出勤・有給休暇などを考慮しておりませんので、勤務内容によっては給与面のコストボリュームが大きくなっていくでしょう。
2019年4月1日からは有給休暇の取得が義務付けられているので、体力のない企業にとってはつらいでしょうが、経営の健全化を進めていく上で避けては通れない道です。

社会保険

社会保険の内、企業が半額負担をする健康保険料と厚生年金保険料が、外国人技能実習生ごとに発生する費用に計上されます。
厚生年金保険については、外国人技能実習生が3年で帰国するのに加入する意味があるのか疑問に思いましたが、6か月以上納めた場合は脱退一時金の受給資格がもらえるそうなので、全くの無駄にはなりません。

支給品

支給品は、寝具・生活用品・自転車・作業服・作業道具です。
寝具と作業道具は事前に用意していましたが、生活用品については彼らがどんな食器や調理器具を使うのか分からなかったので、来社するまで余計なことをせずに待っていました。

生活用品は食器や調理器具をはじめてとして、冷蔵庫・電子レンジ・炊飯ジャー、シャンプー・リンス・トイレットペーパーなど、こまごましたものが必要になります。
ですから、全部が充実するまでに1週間ぐらいかかりました。

技能検定費

1年目の外国人技能実習生が2年目の在留資格を取得するために必要なものに「基礎級技能検定」があります。
この技能検定にかかる費用が技能検定費です。

検定難易度は、目的としている技能実習を日々きちんと学習していれば、誰でも合格できるようなレベルです。
弊社では合格率を上げるために、検定を受ける前に実技試験と同じ内容の作業を2日間させました。
検定後に得点などは知らされませんでしたが、3人とも無事に合格証書が届きました。

帰国費

技能実習生として入国から3年が経過すると、技能実習期間が終了して帰国するわけですが、彼らの帰国費は受け入れ企業が負担します。
それ以外の帰国にかかる費用ついては、受け入れ企業が負担する必要はありません。
もちろん、企業の方針で金銭的に補助できるところがあれば、補助していただいても差し支えありません。

弊社で受け入れている技能実習生3人の内、誰かが毎年帰国していますが、我々に面倒をかけることなく、自分たちで格安航空券を手配して自由に往来しています。
たまたまかもしれませんが、弊社の技能実習生3人の内2人は、兄弟が日本で生活をしているので色々と教えてもらっているのだと思います。

もっと費用を抑える方法はないの?

ここは考えないほうが良いです。
むしろ高単価で仕事を受注できるように営業力を上げてください。

外国人技能実習生を受け入れると、協同組合から3か月に1度、監査員が来て給与台帳や労働時間について適法に処理されているかを確認されます。
弊社もあまり人のことをとやかく言えるような処理をしていないので偉そうに言うつもりはありませんが、適法に処理されていない部分が出てくると、必ず指摘を受けることになります。

指摘されたことを放置するのではなく、それらを健全化していかなければ、いつまで経っても人手不足を解消できるような企業体質は作れないでしょう。
人件費を削減することはあきらめて、営業力を上げる努力をしてください。

昇給なしでも良いの?賞与を出さなくても良いの?

昇給なし・賞与なしでも差し支えありません。
但し、外国人技能実習生と交わした雇用契約書に則っていればの話です。

ちなみに弊社では、入国から6か月以上経過したときの賞与時期に1人当たり5万円、次も5万円、2年目の冬の賞与で10万円を支給する予定です。
昇給はありません。
というか、日本人の昇給もない零細弱小会社なので、どうにもできません。


私の試算では、外国人技能実習生にかかる費用は以下の通りになりました。

1度に3人採用したとして、技能実習期間は3年として、給与は2019年11月時点の全国平均900円/時としての試算
費用項目単価数量金額
組合加入費10,000円初回1回10,000円
組合年会費10,000円毎年1回×3年30,000円
JITCO会費50,000円毎年1回×3年150,000円
面接費300,000円1回300,000円
入国及び入国入管手続き費86,400円3人259,200円
総合保険37か月分23,900円3人71,700円
渡航費65,880円3人197,640円
事前教育費52,200円3人156,600円
監理費37,800円12か月×3年×3人4,082,400円
給与900円8時間×25日×12か月×3年×3人19,440,000円
社会保険20,200円12か月×3年×3人2,181,600円
支給品70,000円3人210,000円
技能検定費20,000円3人60,000円
帰国費65,880円3人197,640円
合計27,346,780円
  • 1人にかかる費用(1年あたり)・・・27,346,780円÷3人÷3年= 3,038,531円
  • 1人にかかる費用(1日あたり)・・・3,038,531円÷12か月÷25日= 10,128円

1人当たりにかかる費用は約300万円/年です。
1日あたりにすると約10,000円です。
私が原価計算をする時は、リスクを考慮して1日あたり11,000円で考えています。

以上、原価計算をしよう!外国人技能実習生1人当たりにかかる費用、でしたー。