2020年1月1日以降から適用されている建設分野の技能実習生受入条件

「建設分野における技能実習生の受け入れ条件が厳しくなったみたいだけど、簡単に言うとどういう事?」

2020年1月1日以降から適用される技能実習生の受け入れ条件について、以下に簡単にまとめましたのでご確認ください。

2020年1月1日以降から適用される技能実習生の受け入れ条件
  • 建設業の許可(一部条件下では不要)
  • 建設キャリアアップシステムへの事業者登録
  • 建設キャリアアップシステムへの技能者登録
  • 給与は月給制

通常、建設業の許可が必要になる規模の建設工事を請け負うのであれば、工事を請ける前に建設業の許可を受けているはずです。
ところが、建設業の許可が必要になっているにもかかわらず、許可を受けない・受けられない・そもそも建設業の許可が必要な事を知らない企業というのは少数ですが存在します。
建設業の許可につきましては後述していますが、一部条件下では不要になることもあるのでご自身の企業の立ち位置を確認しておきましょう。

さて、建設キャリアアップシステムへの事業者登録及び技能者登録につきましては今のところ免責事項が定められておりませんので、どんな事情あっても避けて通ることはできません。
ここの内容につきましては私が実際に登録手続きをした体験談がありますので、後程詳しくご説明いたします。

さてさて、建設分野における給与支払いの方式で一番多く採用されているのは日給制ですが、2020年1月1日以降から新たに受け入れる技能実習生の給与は月給制にしなければなりません。
2019年12月31日までに受け入れた技能実習生につきましては、1号~3号の技能実習区分に合わせて対応していく必要があります。

それでは順を追って、建設業の許可から説明を始めます。

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建設業の許可について

まずは建設業の許可が必要な企業と不要な企業の境界線についてお話します。
建設工事1件あたりの請負代金が500万円以上であれば、建設業の許可が必要となります。
反対に、建設工事1件あたりの請負代金が500万円未満であれば、建設業の許可は不要です。

建設工事の内、建築一式工事に該当するもので工事1件あたりの請負代金の額が1,500万円に満たない、または述べ床面積が150㎡に満たない木造住宅工事であれば、建設業の許可は不要です。
ただ、建築一式工事と言っても何をもってカテゴライズされるのかあいまいなところがあるので、技能実習生を受け入れたいのであれば無難に建設業の許可を取得しておくべきです。

⇒建設業の許可とは(国土交通省)

建設業の許可を受けられない企業

以下に該当すると、建設業の許可を受けられません。
法的な言い回しを私なりに和らげて表現しているので、情報が正確であるとは限りません。
正しくは法律の専門家に確認をしてください。

  • 経営者や役員が暴力団関係者。
  • 経営者や役員が堅気になって5年経過していない元暴力団関係者。
  • 経営者や役員が他の法律で不正をして5年を経過していない。
  • 建設業の許可を受けるものが破産者。
  • 建設業の許可を受けるものが成年被後見人または被保佐人。
  • 不正の手段で建設業の許可を受けたことが発覚して許可が取り消しになった事がある。
  • 営業停止処分中に営業をするなどの違反をして許可が取り消しになった事がある。
  • 廃業届の届出から5年を経過していない。

建設業の許可を申請する方法

知事の許可が必要な場合は、許可を受ける企業が属する都道府県の窓口で申請をしてください。
大臣の許可が必要な場合は、許可を受ける企業が属する地方整備局の窓口で申請をしてください。

⇒許可行政庁一覧表(国土交通省)

申請に必要な書類はうんざりするほどあるので、ご自身で申請する場合は上記の窓口で漏れの無いように確認しておきましょう。
各地域や受付担当者によっては指示される内容が異なることがあるので、無駄なやり取りが生じることも覚悟しておいてください。

私の経験上、建設業の許可申請を行政書士に依頼した場合でも結局無駄なやり取りは生じますが、自分で申請するよりは遥かにマシです。

建設キャリアアップシステムへの事業者登録及び技能者登録

建設分野の企業が技能実習生を受け入れたいのであれば、建設キャリアアップシステムへの登録が必要になります。
まずは事業者登録申請書類を提出して審査に合格しなければなりません。
その後、技能実習生を登録することになります。

技能実習生の受け入れ条件を満たすのだけが目的という事であれば日本人の作業員を登録する必要はないので、事業者登録と技能実習生の登録だけでも全く問題ありません。
私は日本人の作業員を後から登録しなくてはいけなくなった時に面倒なことになりそうだったので、今回の手続きついでに日本人の作業員も一緒に登録しました。

建設キャリアアップシステムへの登録難易度は、建設業の許可申請に比べるとかなり易しいです。
私が自分で事業者登録と技能者登録の申請をした事をブログ記事にまとめたので、よろしければ手続きの参考にご利用ください。

⇒事業者として建設キャリアアップシステムに登録申請をしてわかった事
⇒技能実習生を建設キャリアアップシステムにセルフ代行で登録してみた

コロナウィルスが建設キャリアアップシステムの事務手続きに影響しているのだと思いますが、審査結果や各種書類が届くまでにもの凄く時間がかかります。
申請手続きの代行屋さんを探せばいくらでも出てくるかもしれませんが、建設キャリアアップシステムの審査にかかる時間が短くなることはありません。

私は事業者登録と技能者登録を終えるまでに約3か月かかりましたので、皆さんは余裕をもって登録申請手続きを始めてください。

技能実習生の給与を月給制にする

技能実習生の受入申請をする時に「建設参考様式第2号(報酬に関する誓約書)」という書類を提出しますが、そこに「会社都合や天候を理由とした現場作業の中止等による休業については、欠勤扱いとして賃金を支払わないこととせず、使用者の責に帰すべき事由による休業の場合には、労働基準法に基づき、平均賃金の60%以上を支払います。」という一文がが添えられています。

技能実習生が安定的な収入を得られるように配慮しているのでしょう。
なるほど、それは十分に理解できます。

このような文言がわざわざ記載されているのでお察しの良いかたはお気づきかもしれませんが、現状、ほとんどの建設工事店では日給制を採用しています。
なぜなら天候によっては作業が不可能になることがよくあるからです。
特に外部作業が多い左官・タイル・防水・塗装業は、雨期の出勤日数が数えるほどしかない、なんてことが例年起こります。

にもかかわらず、建設分野で技能実習生を受け入れたいのなら月給制にしろと言われているのですから、給与を支払う側はたまったものではありません。
私自身が営業職なので見積もりをする際には必ず予想原価計算をするのですが、さすがに天候の事まで考慮して労務費の原価を計算することはありません。

しかし今後は、天候次第で仕事にならないことも加味した労務費の計算をしなければならないという事なのでしょう。
計算をするのは大して難しい事ではありませんが、お客さんがそれに納得して代金を支払ってくれるようになるまではまだまだ時間がかかるでしょうね。

尚、2019年12月31日までに受け入れた技能実習生につきましてはすぐに月給制にする必要はありません。
第2号技能実習計画や第3号技能実習計画の認定申請をする時まで猶予があります。

対象となる技能実習生猶予期間
新規に受け入れたい技能実習生猶予無し
すでに1号として受け入れている技能実習生2021年以降に2号に昇格するまで
2020年に2号に昇格する技能実習生2023年以降に3号に昇格するまで
すでに2号として受け入れている技能実習生月給制は強制ではありません
すでに3号として受け入れている技能実習生

技能実習生ではない日本人を含めた他の作業員につきましては、月給制の対象外となっています。
ですが、給与体系に差を作ってしまうと不満が生まれることは容易に想像できます。
給与を支払う側の経営陣は頭が痛いでしょう。
心中をお察しします。


繰り返しになりますが、2020年1月1日以降から適用される技能実習生の受け入れ条件は以下の通りです。

2020年1月1日以降から適用される技能実習生の受け入れ条件
  • 建設業の許可(一部条件下では不要)
  • 建設キャリアアップシステムへの事業者登録
  • 建設キャリアアップシステムへの技能者登録
  • 給与は月給制

これら4つの条件を満たしていないと技能実習生を受け入れることはできないので、申請忘れや漏れがないように十分に注意してください。

以上、「建設分野で2020年1月1日以降から適用される技能実習生の受け入れ条件」でした。