日本人の作業員を募集するのを諦めて外国人を確実に雇用する方法

「人材募集しても応募がないから外国人を雇いたいんだけど、どうしたら良いの?」

外国人を雇用するための現実的かつ確実な方法は以下の通りです。
確実とは言いましたが、念のため難易度が低い順に列挙しています。

  • 技能実習生を受け入れる。
  • 日本で働きたい留学生を新卒採用する。
  • 労働可能な在留資格を取得できる人を採用する。

外国人を雇用するのが初めての場合は、監理団体を通じて技能実習生を受け入れることが一番良いです。
その理由は、監理団体が仲人役をしてくれるので、何か問題が起きた時でもスムーズに解決に向かうからです。

日本人と外国のかたとでは生まれ育った環境が違うので、些細なことでもトラブルに発展しがちです。
例えば、日本人で多少料理に心得のある人なら調理油を排水溝に流すなんてことはしませんが、東南アジアの人たちは何の罪悪感もなく普通に調理油を排水溝に流します。

排水溝に流れた油は溜めマスの中で色々なものと混ざり、固まり、そしていずれ詰まります。
そのあとは汚物悪臭問題が発生し、ご近所トラブルや行政指導を受けることにつながります。

調理油の件は外国人を雇用したときに起こりやすい問題の一つですが、他にも海に潜ってカニや貝などを勝手にとって食べたり、許可なく人のものを勝手に使って仕事をしたり等、悪気なく問題を起こすことは日常茶飯事です。
そのような行為は日本では禁止されていることを説明すれば、すぐに理解をして日本的な生活をしてくれるようになります。

ただし、彼らは日本語が得意なわけではないので、母国語で正しく説明する必要があります。
企業側に外国語を話せるスタッフがいれば良いのですが、ほとんどの場合でそんな人はいません。

このあたりの母国語フォローを監理団体が行ってくれます。
私は技能実習生を受け入れている企業に勤めており、監理団体の母国語フォローにはいつも助けられています。

このようなフォローがあるので、外国人雇用のはじめの一歩には監理団体を通して技能実習生を受け入れることがおすすめです。

技能実習生を受け入れる方法

技能実習生を受け入れるには、以下のステップで話を進めてください。

  1. 監理団体に問い合わせをする。
  2. 技能実習生を受け入れられるかどうか確認する。
  3. 技能実習生を募集する国籍を決める。
  4. 受け入れに必要な費用の見積もりを受け取る。
  5. 技能実習生を面接する。
  6. 技能実習生が入国するまでに準備を整えておく。
  7. 技能実習生が入国するので受け入れる。

監理団体に問い合わせをする

すでに技能実習生を受け入れている知り合いの企業から監理団体を紹介してもらうのが一番リスクが低くておススメですが、もしそういったお知り合いのかたがいなければ外国人技能実習機構の監理団体の検索から最寄りの団体にお問い合わせください。

許可監理団体には一般と特定の2種類がありますが、グレード的には一般のほうが上になります。
特定の場合は在留資格が技能実習2号までしか取得できないので技能実習期間は最長3年しかありませんが、一般であれば技能実習3号まで取得できるので技能実習期間を最長5年まで延長することが可能です。

特に理由がなければ一般の許可監理団体に問い合わせるようにしましょう。

技能実習生を受け入れられるかどうか確認する

企業の状態によっては技能実習生を受け入れられない場合があります。
マイナスになりそうな要因に心当たりがある場合もない場合も、嘘偽りなく企業情報を監理団体にお知らせください。

受け入れが難しいと判断された場合でも、改善すれば受け入れが可能になることもあります。
まずは監理団体との信頼関係を築くことが大切です。

技能実習生を募集する国籍を決める

特定の職種に対して、国によっては技能実習生の送り出しを禁止している場合や何かしらの制限を設けていることがあるので注意が必要です。
また、受け入れた技能実習生の国籍によっては否定的な態度を示す日本の企業は少なくないので、自社工場や自社敷地以外での技能実習を予定している場合は周囲に事前確認をしておきましょう。

他社工場や他社敷地内で技能実習を実施する場合、国籍に問題がなくても意思の疎通が完全にできる状態でなければ入構許可が下りないこともあります。

受け入れに必要な費用の見積もりを受け取る

技能実習生を受け入れるにあたって、実に様々な出費がかさむことになります。
渡航費、帰国費、監理団体へ月々の管理費、保険料などなど、私の実体験でいうと技能実習生1人当たりに給与を含めて年間300万円くらいの費用が掛かります。

⇒原価計算をしよう!外国人技能実習生1人当たりにかかる費用

これを高いと思うか安いと思うかは別として、労務費の原価として採算が合うかどうかが重要です。

技能実習生を面接する

日本式の面接は、面接した後日に結果を通知する、というのが一般的です。
ところが、技能実習生を面接するときは面接した当日の数時間後に採用・不採用の通知をすることになるのが一般的となります。

非常にスピーディなので初めて技能実習生を面接する場合は戸惑うかもしれませんが、1回慣れてしまえばどうってことはありません。
ただ、何の準備もなしにいきなり面接に臨んでしまうと情報不足になる恐れがあるので、しっかりと対策を練っておきましょう。

⇒タイル工事屋が有能な外国人技能実習生を採用できた方法とは?

技能実習生が入国するまでに準備を整えておく

準備しておいたほうが良いものを以下に列挙します。

技能実習生が入国するまでに企業側が準備をしておくと良いもの
  • 翻訳された作業手順書
  • 作業練習設備
  • 自転車
  • 生活用品
  • 作業用衣類
  • ロッカー
  • 作業に利用する工具一式

もし、技能実習生にしてほしい作業の手順書のようなものがあれば、採用した技能実習生の母国語に翻訳しておくと作業説明がしやすくなります。
作業手順書自体がなければ、この機会に作成しておくと良いでしょう。

作業練習設備もあれば失敗を恐れずに手軽に実践経験を積むことができるので、短期間で効率よく技能を習得できるようになります。
自転車については移動手段の必需品として監理団体から事前準備の打診があると思います。

生活用品について、布団、まくら、調理器具、調味料、トイレットペーパー、シャンプーなどを準備しておきましょう。
布団や調理器具はわかるけど、トイレットペーパーやシャンプーまで企業が準備しなきゃいけないの?と思われるかもしれませんが、技能実習生が入国したときはほぼ手ぶらで無一文状態なのでお察しください。

作業用衣類についても同様ですが、サイズの問題があるかもしれませんのでこれは入国後でも差し支えありません。
男性の場合はそれほど神経質になる必要はありませんが、女性の技能実習生の場合は着替え用のロッカーや更衣室も準備しておいてください。
作業に利用する工具や筆記具も一式をご準備ください。

技能実習生が入国するので受け入れる

2021年7月9日現在ではコロナウイルス感染症の影響で全く入国できておりませんが、通常であれば技能実習生の面接から数か月~1年以内程度で入国できるようになります。
ほとんどの技能実習生がはじめての海外生活でしょうから色々な不安を抱えているはずです。

彼らが自力で生活できるように近所のスーパーマーケットやディスカウントストアを案内したり、ゴミ出しのルールも教えていかなければなりません。
もちろん監理団体が率先してこれらのフォローをしてくれますが、丸投げにするのではなく協力して良い生活環境を提供できるようにしていきましょう。

技能実習生を受け入れて感じた事

私は建設関係の企業に勤務していてフィリピン国籍の技能実習生を受け入れたのですが、まずはじめに声を大にして言いたいことは、彼らは素晴らしい人材だということです。
入国当初こそ生活様式に少し問題が生じましたが、当然のように労働日には必ず出勤してきますし、作業は指示通りにこなしますし、誰とでも良いコミュニケーションをとることができます。

技能検定随時3級にも1回で合格して、在留資格を技能実習3号にアップグレード⇒最長の5年まで在留可能となりました。
技術レベルも高く非常に頼れる存在なので、今では欠かすことのできない優秀なスタッフたちです。

しかしながら、彼らはあともう少しで帰国しなければなりません。
入国からすでに3年6か月が経過しているので、あと1年6か月後には帰国していなくなってしまうのです。

彼らを受け入れた時からわかっていたことでしたが、ここまで優秀な人材になってしまうと抜けた後の穴が大きすぎるのでどうやって埋めようか非常に悩んでいます。
帰国すること自体は避けようがないのであきらめるしかありませんが、もっと良い方法はないかと熟考したところ、ありました。

留学生です。

留学生なら、ある程度日本語能力が高くて、日本語でしか出題されない試験に合格することも可能で、作業をすることを受け入れてくれそうで、何より在留期間を長く取得できそうです。
実はすでに1名採用しているので、採用した方法についてご説明いたします。

日本で働きたい留学生を新卒採用する方法

留学生を新卒採用する方法は以下の通りです。

  • 大学や専門学校に求人を出す。
  • 留学生を斡旋するサービスに申し込む。

日本で就職したいと思っている留学生は意外と多く、特にアジア圏の留学生はその思いが強いように感じます。
ですから、普通に大学や専門学校に直談判して求人募集をすれば、案外あっさりと採用できたりします。

私の知り合いの企業の採用担当者が専門学校に求人を出したところ、すぐに採用が決まったそうです。

私が勤めている会社では地方銀行さんが主宰する留学生斡旋サービスに申し込みました。
こちらは成果報酬型の有料サービスで、採用が決定したらその人の年収の3か月分を支払うというものです。

採用した人物の年収を約300万円で契約したので、約90万円を報酬としてお支払いしました。
今では少しもったいないような気もしていますが、これはこれで勉強になりました。

留学生を斡旋してくれるサービスを利用したことで契約交渉の進め方を知ることができましたし、雇用する際の在留資格の申請手続きについても学ぶことができました。
次からは自力で留学生を採用できる自信もついたので、何でも経験しておくと良いですね。

労働可能な在留資格を取得できる人を採用する方法

労働可能な在留資格を取得できる人を採用するには以下の方法があります。

  • Indeedやリクルートエージェントのような就業紹介サービスに求人掲載をする。

業種によりますが、Indeedやリクルートエージェントのような人材紹介サービスを利用すれば作業員を採用できるかもしれません。
作業員になりたい!と思って登録している人は非常に少ないでしょうからあまり期待はできませんが、可能性はゼロではありません。

技能実習生の母国で商売を始めようと思うんだけど、うまくいくと思う?

うまくいくとは思えません。
というのも、先進国であれば日本の生活環境と大差はありませんが、技能実習生が送り出されるような国と日本では生活環境がまるで違うからです。

私は帰国する技能実習生を現地で雇用して日本と同じような仕事を展開していこうと計画していましたが、調べれば調べるほど費用対効果が薄いので諦めました。

というのも、日本では色々なものが普及しているので品質や機能に対してお金を支払うことに抵抗はない、つまり技術力があれば商売が成立しますが、他の国ではこの公式が成り立たないことが多々あります。
どちらかというと技術力よりも見た目と安さ重視です。

粗悪品でも安ければ売れますし、耐久性や利便性が劣ることになっても斬新なデザインだったらバズって爆売れたりします。
インターネット通販で購入するよりも、現地で実際に見て触ってその実物を買う、といったような不信からくる文化もあります。

例えばベトナムではクレジットカードの自動引き落としシステムも信用されていないそうで、取引は主に現金でのやりとりとなります。
ITに強い人ほど活躍の場がなくなる傾向が強いです。

零細企業が日本人作業員を採用できる可能性はどれぐらいあるの?

毎日1件以上問い合わせがあることを100%として考えたとすると、0.1%ぐらいの可能性ならあるかもしれません。
4年間に1件お問い合わせがあるかどうかですね。

わずかな可能性に期待して待つよりも、外国人を雇用することに注力したほうが零細企業の未来は明るいのではないでしょうか。


はい、と言うことで、人材募集しても応募がないから外国人を雇いたい場合は、以下の方法から取り組みやすいものを選択して進めてください。

  • 技能実習生を受け入れる。
  • 日本で働きたい留学生を新卒採用する。
  • 労働可能な在留資格を取得できる人を採用する。

初めての外国人雇用の場合は、技能実習生の受け入れが一番取り組みやすいのでおススメです。

以上「日本人の作業員を募集するのを諦めて外国人を確実に雇用する方法」でした。