技能実習の優良認定事業者になるには?今すぐ取り組むべき6つの大項目

「外国人技能実習生の受け入れ優良認定事業者として認められるにはどうすれば良いの?」

技能実習3号の外国人技能実習生を受け入れられる優良認定事業者として認められるには、技能実習生の保護に関する法律施行規則第15条に定められている基準の6割以上を満たせば良いです。
技能実習生の保護に関する法律施行規則第15条に定められている基準というと難しく聞こえるかもしれませんが、外国人技能実習機構(OTIT)でダウンロードできる「優良要件適合申告書(実習実施者) (参考様式第1-24号)」に、その基準となるものがわかりやすくまとめられています。

優良要件適合申告書には受け入れ企業としての実績を表わすものが記されており、大別すると6項目になります。

優良要件適合申告書の大項目6つとそれぞれの配点
  1. 技能等の習得等にかかる実績・・・(70点)
  2. 技能実習を行わせる体制・・・(10点)
  3. 技能実習生の待遇・・・(10点)
  4. 法令違反・問題の発生状況・・・(5点)
  5. 相談・支援体制・・・(15点)
  6. 地域社会との共生・・・(10点)

全部合わせると120点満点になります。
中には減点になる評価項目もあるので注意が必要です。
評価項目に該当しなければ得点はありません。

120点の内、6割を獲得できれば良いので、72点以上を目指して頑張りましょう。
それでは、1項目ずつ詳しくご説明いたします。

目次

技能等の習得等にかかる実績

技能等の習得等にかかる実績は、70点もの配点がある最重要項目です。
項目名の通り、技能実習生がどれだけの技能を習得できたのか、その実績を評価されます。
実績として評価されるのは以下の4項目です。

  1. 基礎級程度の学科試験及び実技試験の合格率(過去3年間)
  2. 随時3級・随時2級程度の実技試験の合格率(過去3年間)*1
  3. 随時3級・随時2級程度の学科試験の合格実績(過去3年間)
  4. 技能検定試験実施にあたっての協力性

*1:2020年10月31日までは下記 Ⅱ-2(1)+Ⅱ-2(2)の合格実績人数にする事も可能。

  1. Ⅱ-2(1).随時3級程度の実技試験の合格実績(過去3年間)
  2. Ⅱ-2(2).随時2級程度の学科試験の合格実績(過去3年間)

配点の内訳は次の通りです。

Ⅰ. 基礎級程度の学科試験及び実技試験の合格率(過去3年間)の配点

合格率評価点数
95%以上20点
80%以上95%未満10点
75%以上80%未満0点
75%未満-20点

基礎級程度の学科試験及び実技試験は技能実習期間を2年に延長するための試験なので、試験員もかなり甘めの採点をしてくれます。
従いまして、基礎級程度の受検者はほぼ合格になるはずですが、中には母国に帰りたい技能実習生がわざと不合格になるケースもあるらしいので、安心はできません。
受け入れ人数が少ない企業だと、一人でも不合格者が出れば-20点になるかもしれないので、ここは慎重に事を進めましょう。

不合格者を出さないようにするには、受検前に本人の技量とメンタルに問題はないか確認をすることが重要です。
1年目の技能実習生は単身で日本に来ているわけですから、特にメンタル面には気配りをしておきましょう。
メンタルケアが必要な場合は、協同組合の方に協力を仰いでください。

Ⅱ. 随時3級・随時2級程度の実技試験の合格率(過去3年間)の配点

合格率評価点数
80%以上40点
70%以上80%未満30点
60%以上70%未満20点
50%以上60%未満0点
50%未満-40点

随時3級の技能検定試験は、技能実習3年目の途中で実施される試験です。
普通に技能実習をされているのであれば、試験を難しいと感じることはないでしょう。
これに合格をした者は、入国期限をあと2年延長することができます。

随時2級の技能検定試験は、5年目の途中で実施される試験です。
試験内容はやや難しめに設定されているようで、例えばタイル張り工事における随時2級の試験は、日本人が受けるタイル張り2級技能士の国家資格と同じ内容です。

Ⅱ-2(1). 随時3級程度の実技試験の合格実績(過去3年間)の配点

合格人数評価点数
3人以上35点
2人25点
1人15点
0人-35点

ここでの評価は合格率ではなく合格人数なので、1人でも合格者がいるのであればこちらの評価項目を選んだ方が有利になることもあります。

Ⅱ-2(2). 随時2級程度の実技試験の合格実績(過去3年間)の配点

合格人数評価点数
2人以上5点
1人3点

Ⅲ. 随時3級・随時2級程度の学科試験の合格実績(過去3年間)の配点

合格人数評価点数
2人以上5点
1人3点

Ⅳ. 技能検定試験実施にあたっての協力性の配点

協力性評価点数
あり5点

技能検定試験を行う際に、試験で使用する材料や道具を準備することで、評価につながりやすくなります。
自社施設で試験を実施した場合にも、協力性があると評価されるようです。

ここは協同組合のさじ加減でしょうから、よほどの事が無い限り5点を獲得できると思います。

技能実習を行わせる体制

技能実習を行わせる体制の配点は全部で10点しかありませんが、めちゃくちゃ簡単に獲得できるので積極的に実施しましょう。
体制として評価されるのは以下の2項目です。

  1. 技能実習指導員の養成講習受講歴(過去3年間)
  2. 生活指導員の養成講習受講歴(過去3年間)

配点の内訳は次の通りです。

Ⅰ. 技能実習指導員の養成講習受講歴(過去3年間)の配点

受講者数評価点数
全員5点

Ⅱ. 生活指導員の養成講習受講歴(過去3年間)

受講者数評価点数
全員5点

技能実習生の待遇

技能実習生の待遇の配点は全部で10点です。
待遇として評価されるのは賃金割合と昇給率の2項目です。

  1. その地域の最低賃金に対する第1号技能実習生が受け取っている時給の割合
  2. 技能実習の各段階ごとの昇給率

配点の内訳は次の通りです。

Ⅰ. その地域の最低賃金に対する第1号技能実習生が受け取っている時給の割合の配点

賃金割合評価点数
115%以上5点
105%以上115%未満3点

賃金割合は、第1号技能実習生が受け取っている時給÷その地域の最低賃金×100、で計算することが出来ます。
もし、技能実習生が受け取っている時給が900円で最低賃金が850円なら、900÷850×100≒105.9%、となります。

Ⅱ. 技能実習の各段階ごとの昇給率の配点

昇給率評価点数
5%以上5点
3%以上5%未満3点

技能実習の段階には「技能実習1号」「技能実習2号」「技能実習3号」があります。
技能実習1号は1年目の新米技能実習生に与えられる称号なので特別な試験などはありませんが、技能実習2号と3号の称号を得るには技能検定試験に合格する必要があります。

技能実習2号になるタイミングは、基礎級の技能検定に合格+技能実習期間が1年を経過した時です。
技能実習3号になるタイミングは、随時3級の技能検定に合格+技能実習期間が3年を経過+技能実習生本人が希望した時です。

法令違反・問題の発生状況

法令違反・問題の発生状況の配点は全部で5点です。
配点が少ないですが、この項目は点数を稼がせるのが目的ではなく、法令違反や問題のある企業に致命的な減点を与えるのが目的です。
法令違反や問題の発生状況として評価されるのは以下の3項目です。

  1. 改善命令を受けたことがある(過去3年間)
  2. 失踪割合または失踪者数(過去3年間)
  3. 受け入れ企業の責めに帰すべき失踪(過去3年間)

配点の内訳は次の通りです。

Ⅰ. 改善命令を受けたことがある(過去3年間)の配点

改善状況評価点数
改善未実施-50点
改善実施-30点

俗にいうブラック企業が技能実習生の受け入れ企業になった場合は賃金計算や残業の考え方が適法ではない事がとても多く、改善命令を出されても従わないケースも珍しくないのでここでふるいにかけられます。

Ⅱ. 失踪割合または失踪者数(過去3年間)の配点

失踪割合または失踪者数評価点数
0%または0人5点
10%未満または1人以下0点
20%未満または2人以下-5点
20%以上または3人以上-10点

Ⅲ. 受け入れ企業の責めに帰すべき失踪(過去3年間)の配点

失踪実績評価点数
あり-50点

相談・支援体制

相談・支援体制の配点は全部で15点です。
相談・支援体制として評価されるのは以下の3項目です。
母国語相談・支援の実施方法や手順を定めたマニュアルの策定及び関係職員への周知は簡単にできることなので、実施していない場合はすぐに取り組んでおきましょう。

  1. 母国語相談・支援の実施方法や手順を定めたマニュアルの策定及び関係職員への周知
  2. 技能実習生が母国語で相談をすることができる職員の確保
  3. 実習先変更による技能実習生の受け入れ実績

配点の内訳は次の通りです。

Ⅰ. 母国語相談・支援の実施方法や手順を定めたマニュアルの策定及び関係職員への周知の配点

実施状況評価点数
実施済5点

マニュアルには技能実習生から相談があった場合の緊急連絡先や相談窓口を記載してください。
テンプレートのようなものがほしいかたは、私が作ったものでよろしければご利用ください。

技能実習生を対象とした相談マニュアルのテンプレート

技能実習生を対象とした相談マニュアル

技能実習生から相談を受けた場合、答えられる範囲についてはできるだけ簡単な日本語で回答をすること。
答えられない相談については、最も適した人材につないで指示を仰ぐこと。

  • 技能実習責任者:渡辺太郎(090-XXXX-XXXX) tarou_watanabe@XXXX.XXXX
  • 技能実習指導員:鈴木一郎(090-XXXX-XXXX) ichiro_suzuki@XXXX.XXXX
  • 生活指導員:山本次郎(080-XXXX-XXXX) jiro_yamamoto@XXXX.XXXX
  • 総務:00-XXXX-XXXX contact@XXXX.XXXX
【当社が所属している監理団体の情報】

○○○○協同組合
○○県○○市○○町0-0-0
TEL:11-XXXX-XXXX FAX:22-XXXX-XXXX E-mail:info@XXXX.XXXX

Ⅱ. 技能実習生が母国語で相談をすることができる職員の確保

確保状況評価点数
確保済5点

技能実習生が母国語で相談をすることができる職員のかたの勤務形態は、常勤・非常勤どちらでも差し支えありません。

Ⅲ. 実習先変更による技能実習生の受け入れ実績

実績評価点数
あり5点

何かの理由で実習先を変更しなければならない他所様の技能実習生を引き受けていただけた企業様には、実習先変更による技能実習生を受け入れた、という実績が残ります。

地域社会との共生

地域社会との共生の配点は全部で10点です。
お正月の初詣や春のお花見などもカウントされるので、比較的得点を獲得しやすい項目です。
評価されるのは以下の3項目です。

  1. 日本語学習支援
  2. 地域社会との交流を行う機会を提供
  3. 日本の文化を学ぶ機会を提供

配点の内訳は次の通りです。

Ⅰ. 日本語学習支援の配点

実績評価点数
あり4点

日本語学習支援の実績があると評価されるには、企業で日本語教材を購入して定期的に日本語勉強会を開催したり、外部講師を招いて日本語学習の場を設けたりすると良いでしょう。

Ⅱ. 地域社会との交流を行う機会を提供の配点

実績評価点数
あり3点

例えば、技能実習生と一緒に地域の清掃活動に参加したり、技能実習生と地元小学生の交流イベントを開催すると、地域社会との交流を行う機会を提供したと評価されます。

Ⅲ. 日本の文化を学ぶ機会を提供の配点

実績評価点数
あり3点

初詣や花見といった日本独特の文化を学ぶ機会を提供すると、3点獲得することが出来ます。

簡単に得点出来る項目って何があるの?

私は以下の項目であれば簡単に得点できると考えます。
簡単に21点獲得できるのでオススメです。

  1. 2. 技能実習を行わせる体制
    1. Ⅰ. 技能実習指導員の養成講習受講歴(過去3年間)・・・5点
    2. Ⅱ. 生活指導員の養成講習受講歴(過去3年間)・・・5点
  2. 5. 相談・支援体制
    1. Ⅰ. 母国語相談・支援の実施方法や手順を定めたマニュアルの策定及び関係職員への周知・・・5点
  3. 6. 地域社会との共生
    1. Ⅱ. 地域社会との交流を行う機会を提供・・・3点
    2. Ⅲ. 日本の文化を学ぶ機会を提供・・・3点

技能実習指導員と生活指導員の養成講習については、開催時期があるので余裕を持ってスケジュール調整をしてください。
他の3つの項目はやろうと思えばすぐにできるので、まだお済でないかたは少し時間を作って取り組んでみてはいかがでしょうか。

PikoPikoが所属している会社はどんな風に評価されているの?

協同組合から正式に評価を受けているわけではないので正しい事は分かりませんが、2020年3月20日時点での自己採点をするなら41点で、まだ6割の評価を獲得できていないことになります。
今の技能実習2号の技能実習生が随時3級を合格できなければ、優良認定事業者になるのは厳しそうです。
採点の内訳は以下画像の通りです。


さて、外国人技能実習の優良認定事業者になるための方法のおさらいです。
優良認定事業者として評価されるには、優良要件適合申告書に記されている項目の内、6割以上の評価得点を獲得する必要があります。
評価得点の配点は以下の通りです。

優良要件適合申告書の大項目6つとそれぞれの配点
  1. 技能等の習得等にかかる実績・・・(70点)
  2. 技能実習を行わせる体制・・・(10点)
  3. 技能実習生の待遇・・・(10点)
  4. 法令違反・問題の発生状況・・・(5点)
  5. 相談・支援体制・・・(15点)
  6. 地域社会との共生・・・(10点)

今後も益々労働人口(特に肉体労働系)が減少していくでしょうから、出来るだけ良い労働環境を作って技能実習生を長期的に受け入れる準備を整えておきましょう。

以上、技能実習の優良認定事業者になるには?今すぐ取り組むべき6つの大項目、でした。