テスターで電流だけが測れない。よくある原因は、中に入っているヒューズ切れです。
その小さな部品を1つ取り替えたら、元どおりになりました。特別な道具も、はんだ付けもいりません。私の場合はドライバー1本、30分でした。
切れたヒューズ(0L)
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新品のヒューズ(1.46Ω)
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入れ替える
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※ 1枚目と2枚目はヒューズそのものを、同じやり方ではかっています。0L(つながっていない)と 1.46Ω(つながっている)。この違いが見分け方です。
それではテスターのヒューズ交換方法について解説していきます。
テスターのヒューズ交換のやり方【5ステップ】
先に、やり方だけ書きます。原因の探し方や、なぜ切れたのかという話は、そのあとに書きました。
先に、大事なおことわり
ここに書くのは、私のテスター(CUSTOM ULTIMATE SERIES M-09FBM)を直したときの記録です。テスターは機種によって、ネジの本数も、ふたの開け方も、入っているヒューズの種類も違います。
とくにヒューズの定格(○A / ○V)は、機種ごとに決まっています。私のが 0.4A / 250V だったからといって、あなたのテスターも同じとはかぎりません。買う前に、次のどれかで必ず確かめてください。
- 取扱説明書を見る(たいてい「ヒューズの交換」という項があります)
- メーカーの公式サイトで、型番から仕様を調べる
- いま入っているヒューズ本体を見る。ガラス管の金具に
F0.4A 250Vのように刻印されています - 基板のヒューズのすぐそばに印刷されていることもあります。私のテスターは、開けたら基板に
FUSE 400mA/250Vと書いてありました(=0.4A / 250V)
型番で検索しても出てこないときは、型番と「ヒューズ 定格」でAIに聞くのも早いです。ただし、出てきた答えは必ず実物の刻印か説明書と突き合わせてください。
用意するもの
| 交換用のヒューズ | 自分のテスターと同じ定格のもの。上のおことわりのとおり、先に定格を調べてください。 私の場合は ミニ管ヒューズ 0.4A / 250V。Amazonで4本入り135円でした。 |
|---|---|
| ドライバー | ネジに合うドライバー。私のは精密ドライバー(プラス)1本でした |
| あると助かるもの | もう1台のテスター。直ったかどうかの確認に使います |

ヒューズを買うときは、元と同じ数字のものを選ぶこと。ここだけは守ってほしい。理由はあとで説明するよ。
先に、この記事で使う名前だけ
手順に出てくるのは、この4つだけです。名前を覚える必要はなくて、「こういう部品がある」と分かれば十分です。

| 画面 | はかった数字が出るところ |
|---|---|
| つまみ(レンジ切り替え) | 「何をはかるか」を選ぶダイヤル |
| 差し込み口 | 赤と黒の棒をさす穴 |
| テスト棒(プローブ(探針)) | 赤と黒の細い棒。この先っぽを当ててはかります |
手順1 テスト棒を抜いて、つまみをOFFにする
これを先にやってください。電気が通ったまま中を触らないための準備です。
手順2 裏返して、ネジを外し、ふたを開ける
裏のネジを外すと、ふたが外れます。中には基板と、ボタン電池と、目当てのヒューズが入っています。
※ ネジの本数と場所は機種によって違います。私のテスターは1本だけでしたが、4本のものや、ゴムカバーを外さないとネジが見えないものもあります。

手順3 ヒューズを取り出す
ガラスの小さな管が、両はしの金具でとまっています。指かピンセットで、そっと外します。
※ 私のは金具ではさんであるだけなので、そのまま外せました。機種によっては、はんだ付けされていて外せないものや、ガラス管ではなく四角い形のものもあります。無理に引っぱらないでください。

手順4 同じ数字の新しいヒューズをはめる
新しいヒューズを、元と同じ向きで金具にパチンとはめます。向きの決まりはありません。
はめる前に、新品のほうもはかっておくと安心です。大事なのは数字そのものではなく、0L ではないこと。ここで 0L と出たら、新品のつもりでも切れています。
※ 私の新品は 1.46Ω でした。ただしこの数字にはテスト棒そのものの抵抗も入っていますし、値はヒューズの定格によっても変わります。あなたのヒューズが1.5Ωにならなくても、おかしくはありません。

手順5 ふたを閉じて、直ったか確かめる
ふたを閉じてネジを留めたら、いきなり本番の回路につながないで、まず差し込み口がつながっているかを確かめます。もう1台のテスターがあれば、それで見ます。

出たのは3.3Ω。0L ではなくなりました。つながっています。同じところに流れた電流は 0.33mA でした。
そのあと、実際の回路で電流をはかってみました。

12.73mA。直りました。ここまで、かかったのは30分ほどです。
ここからは、どうやってヒューズが原因だと分かったのかと、そもそもなぜ切れたのかの話です。同じことをやらかさないために書いておきます。
そもそも、何が起きたのか
電気の実験に使うテスターを、自分の不注意で壊していました。やったことは、つまみを1つ、回し忘れただけです。
火花も音も出ませんでした。煙も出ません。だからそのときは、壊したことにすら気づきませんでした。
おかしいと気づいたのは、LEDの実験の続きをやろうとしたときでした。いつもどおりに回路を組んで、電流をはかろうとしました。

画面に出たのは 0.01mA。ほとんど流れていません。そして、LEDも光りません。
配線はさっきと同じにしたつもりなんですが、うんともすんとも言いません。
その2つが同時に起きているのが手がかりだよ。電流をはかるとき、テスターは電気の通り道の一部になっている。LEDが光らないということは、通り道のどこかが切れているということ。そして、いま通り道の中にはテスターが入っている。
……テスターの中で切れている、ということですか。
その可能性が高い。確かめるのは簡単で、同じ場所にもう1台の別のテスターを入れてみればいい。
言われたとおり、別のテスターに入れ替えてみました。そうしたら、あっさり数字が出て、LEDも光りました。

回路は正しかったようです。壊れているのはテスターのほうでした。
原因の探し方:もう1台のテスターでつながりを調べる
壊れているのは分かりましたが、テスターのどこが壊れたのかは分かりません。
もう1台のテスターをお医者さんにして、壊れたほうを診ていこう。使うのは、2か所がつながっているかどうかを調べる機能。つながっていれば「ピッ」と鳴る。つまみにスピーカーのマークがある位置だよ。

あやしいところを、外側から順につぶしていこう。いきなり中を開けない。外で分かることが残っているうちは、開けても迷うだけだからね。
教わった順番で調べていきました。
| 順番 | 調べたところ | 結果 |
|---|---|---|
| 1 | 電池は生きているか(そもそも画面がつくか) | 画面はつく=電池はOK |
| 2 | 赤と黒のテスト棒(線)が切れていないか | つながっている=棒は無事 |
| 3 | 電流をはかるときに使う差し込み口 | 0L = つながっていない |

3番目で、画面に「0L」と出ました。
0L って何ですか。エラーですか。
エラーじゃないよ。それと、数字のゼロではない。0L は Over Load(オーバーロード)の略で、『大きすぎて、この機械でははかれません』という表示なんだ。抵抗をはかっているときに出たら、抵抗が大きすぎる=つながっていないということ。ここが切れている。
「0」と付いているので、抵抗がゼロ=よくつながっている、という意味かと思いました。
まるで逆だよ。そこがいちばん間違えやすいところ。0Ωに近いほど「よくつながっている」。0L はその反対のはしで、「つながっていない」。0L の 0 は、ゼロではなくアルファベットの Oだと思っておくといい。
電流をはかるときに通る道が切れている。その道にはヒューズという部品が入っているから、たぶんそれが切れている。開けて見てみよう。
それと、本当はここで電圧のほうの差し込み口も同じように調べておくといい。そこが正常なら「壊れたのは電流の側だけ」と言い切れるからね。
——これは、今回やっていません。あとから言われて気づきました。次からはやります。
症状は「電流だけが測れない」。AI先生の予想では、原因はテスターの中に入っているヒューズが切れている、でした。開けて確かめます。
ヒューズが切れているかの見分け方
これがヒューズですか。ガラスの小さい筒みたいですね。
そう。ガラスの管の中に、細い線が1本だけ通っている部品だよ。役目はひとつだけ。決められた量より多い電気が流れてきたら、自分がまっ先に切れて、電気を止める。

生きているか切れているかは、さっきと同じやり方で分かる。当ててみて0に近い数字が出れば、つながっている。「0L」と出たら、切れている。
お医者さん役のテスターを、取り出したヒューズに直接当ててみました。出たのは0L。中の線が切れていました。犯人はこれです。


なぜヒューズが切れたのか
ここで、心当たりを1つ思い出しました。前回のLEDの実験(電子工作初心者がLEDを光らせて抵抗の意味を学んでいく)を撮影しているとき、電圧をはかろうとして、電池の両はしにテスト棒を当てたことがあります。
そのとき、つまみが「電流」のままでした。
でも、何も起きませんでした。火花も音も出ていません。それでも関係あるんでしょうか。
大ありだよ。順番に見ていこう。まず、電気は輪になって流れている。

電池から出た電気は、ぐるっと回って電池に戻ってくる。どこか1か所でも切れていたら、電気は流れない。だからLEDも光らなかったんだ。
次に、はかり方が2種類あるという話。電圧をはかるときは、輪はそのままで、横から2か所に触るだけ。電流をはかるときは、輪を1か所切って、そこにテスターを橋のようにはめこむ。

ここが大事なところ。電流をはかるときのテスターは、電気の通り道そのものになる。だからじゃまをしないように、中はほとんど素通りにできているんだ。
……その素通りの状態で、電池の+と−に直接あててしまった、と。
そう。電池から見ると、じゃまする物が何もない道がいきなりできたことになる。そこへ電気が一気に流れこむ。

そのとき、身がわりに切れて本体を守ったのがヒューズ。静かに壊れたのは、うまくいった証拠なんだ。派手に焼けなかったのは、ヒューズが仕事をしたから。
壊したと思っていたら、守られていたようです。文句の言いようがありません。
ところで、また切れると面倒なので、もっと大きい数字のヒューズを入れておくのはどうでしょう。
それは絶対にやめてほしい。大きい数字のものを入れると、次に何かあったとき、身がわりになってくれない。守ってくれる仕組みを、自分の手で外すことになる。だから元と同じ数字を買うんだ。
同じ失敗をしないために
次からのために、3つだけ決めておこう。
- テスト棒を当てる前に、つまみを見る。当てたあとでは遅い、と言われました。私は「当てる前に、つまみ」と口に出すことにしました。
- 電流をはかるときは、さす穴も変わる。多くのテスターは、電流用の穴が別にあるそうです。穴をさし替えるというひと手間が、そのまま確認のチャンスになる、とのことでした。
- はかり終わったら、つまみをOFFに戻す。電流のまま置いておくと、次に手を伸ばしたときに、また同じことをやります。これは自分でも思い当たります。
まとめ
- 症状は電流だけが測れない(0.01mA)/回路に入れるとLEDも光らない
- 直し方は元と同じ定格のヒューズに取り替えるだけ。ドライバー1本、30分。定格は機種ごとに違うので、説明書かメーカーのサイト、または実物の刻印で確かめる(私のは 0.4A / 250V でした)
- 原因の探し方は電池 → テスト棒 → 電流の差し込み口の順に、つながりを調べる
- 「0L」はゼロではありません。Over Load = 大きすぎてはかれない = つながっていない。0Ωに近いほうが「よくつながっている」側です
- 電流の差し込み口が0Lなら、犯人は中のヒューズ。切れたヒューズは 0L、私の新品は 1.46Ω(この値はヒューズによって変わります。0Lでなければよい)
- 取り替えたあと、同じ差し込み口が 0L → 3.29Ω に変わり、回路に入れて 12.73mA で復活
- 切れた理由は、電流のつまみのまま電池に当てて、じゃまする物のない道を作ってしまったから
道具が壊れると作業は止まります。でもそのぶん、道具の中を見ることができました。「多すぎる電気が来たら、まっ先に切れて守る部品」が入っていることは、聞いただけでは通り過ぎていたと思います。切れた実物を手に持つと、納得の質が違いました。
おまけ:測っている数字が、少しずつ増えていく
測っているあいだ、気になったことがあります。画面の数字が、少しずつ増えていくのです。12.70、12.72、12.75……という具合に、小数点の下のほうがじりじり動きます。
止まらないんですが、これは壊れているんでしょうか。
いや、正しい動きだよ。LEDは温まると、電気が通るのに必要な電圧が下がるんだ。1℃上がるごとに、だいたい2mVずつ。
電池の電気は、LEDと抵抗で分け合っている。LEDの取り分が減ったぶん、抵抗の取り分が増える。抵抗の取り分が増えれば、そこを流れる電気も増える。だから数字が上がっていくんだ。

光らせているうちに、LEDが自分で自分を温めているわけですか。
そう。だから電池を入れた直後がいちばん少なくて、しばらくすると落ち着く。数字が動いていたら、少し待ってから読むといいよ。
※ 図の電圧の値は「たとえばこうなる」という例です。
以上、番外編「テスターのヒューズ交換」でした。連載の本編は、次回からまた部品の話に戻ります。


