タイル張り技能士1級実技試験のCAD施工図と墨出し図

「タイル張り技能士1級実技試験のCAD施工図と墨出し図ってどこにあるの?」

ここにあります。
私が作りました。
ダウンロードしてご自由にお使いください。

施工図については実技試験問題に記載されているとても簡素な図面を参考にしてJw_cadで描き起こしました。
沢山の線があるのでpdfだと見づらいかもしれません。

墨出し図については私が最低限必要な墨だけを表示しています。
墨出し図の線の色の違いはピンクが目地芯でグリーンが端です。

これらの図面を元に、私が練習した実技試験の様子をお伝えいたします。

私は2023年のタイル張り技能士1級試験を受けましたが、実技は不合格でした。完成時間も20分オーバーの3時間で、仕上がり精度も悪かったです。来年また頑張ります。

練習1回目

1回目の練習は制限時間2時間40分では完了することができませんでした。
1時間延長して作業しましたが、床のモルタル下地を作るので精一杯でした。

私は普段デスクでPC作業をしているので体力が全然持たなかったのが大きな原因です。
時間は関係なしに最後までやり切ろうと思っていましたが、この時点で20時を過ぎていたので、体力も気力もなくなって力尽きました。

このあとの片付けに2時間ぐらいかかって、心底疲れました。
果たして制限時間内に完成させることができるのか、全く自信がありません。

練習2回目

2回目は2時間59分で完成形にすることはできました。
とは言え、この状態では掃除も何もできていないので、0点どころか採点すらしてもらえないでしょう。

練習3回目

3回目の練習の時には本試験の時と同じ製作台を作成して使用しました。

この時は練習に使える時間が少なかったので、通称だんご張りと言われる積み上げ張りの練習だけをしました。

100角内装タイルカットと積み上げ張りの合計時間が31分だったので、時間配分としては問題ありません。
本試験でこれぐらいの精度の仕上げができれば、減点は少ないような気がします。

練習4回目

4回目でようやく時間制限内に終わるようなところまで来ました。
最後の清掃はしていませんが、2時間24分で形にすることはできました。

仕上がりの精度的にも満足いく出来になりました。

練習5回目

5回目は時間の計測をせず、本試験を想定して最後までやり通しました。
清掃まで入れて2時間40分で終わることができました。

でも、床タイルのモルタル下地の精度が悪く、右側がかなり下がって見えます。
こんな仕上がりでは合格できる気がしません。
まだまだ練習が足りませんね。

練習6回目

6回目は作業手順を最終確認しながら練習しました。
私は作業場所をとても広く使っていますが、実際の試験会場はとても狭かったです。

計測はしていませんが、感覚的には2m×2mぐらいの仕切りの中に製作台と材料をセットしました。
プラ舟やバケツは仕切りの外に置かせてもらいましたが、動ける範囲はとても狭かったです。

私の時間配分と練習のときにかかった時間

時間配分は適当です。
私の場合は1時間経過した時にレンガ積みまで終わっていれば後が楽でした。

作業内容 目標時間 1回目 2回目 3回目 4回目 5回目 6回目
床墨出し 15分 未計測 14分 10分 11分 未計測 10分
床墨マスキングテープ張り 5分 未計測 4分 5分 4分 未計測 3分
モルタル練り 5分 未計測 6分 未施工 6分 未計測 5分
コンクリートブロック積み 15分 未計測 18分 未施工 15分 未計測 13分
コンクリートブロック面墨出し 8分 未計測 7分 未施工 8分 未計測 7分
コンクリートブロック面墨マスキングテープ張り 2分 未計測 2分 未施工 2分 未計測 1分
コンクリートブロック面シゴキ塗り 5分 未計測 5分 未施工 6分 未計測 5分
レンガ積み 10分 未計測 11分 9分 8分 未計測 13分
45二丁掛タイル張り 15分 未計測 15分 未施工 11分 未計測 12分
内装100角タイルカット 5分 未計測 5分 5分 3分 未計測 2分
内装100角タイル張り 30分 未計測 35分 26分 34分 未計測 30分
床100角タイルカット 10分 未計測 21分 未施工 13分 未計測 12分
床モルタル塗り 10分 未計測 11分 未施工 11分 未計測 14分
床100角タイル張り 15分 未計測 15分 未施工 12分 未計測 13分
仕上げ清掃 10分 未計測 10分 未施工 未施工 未計測 15分
合計時間 2時間40分 記録なし 2時間59分 記録なし 多分2時間40分 2時間40分 2時間35分

ブロック面のシゴキ塗りをする前に、レンガを水に浸しておきましょう。
試験会場に用意されているレンガの性質によりけりですが、吸水性が良いレンガはモルタルの水を一瞬で吸い込むので、水に浸したレンガを取り出すタイミングが重要です。

内装タイルを張るレンガの面にはシゴキ塗りが必要になるので、コンクリートブロックのシゴキ塗りに使った材料を流用するとひと手間省けます。

タイルカットの寸法

タイルカットが必要になるのは内装100角タイルの平タイル及び片面取りタイルと外装床100角タイルです。
私が描いた図面上での寸法は下記の通りです。

番号 寸法(mm) 必要枚数
91×97.75 平2枚
61×97.75 平2枚
61×97.75 片面取り1枚
52×92 6枚
66×92 5枚
52×66 1枚
対角線でカット 3枚
対角線から4mm小さくしてカット 8枚
対角線から4mm小さくしてカット 8枚
対角線から16mm大きくしてカット 4枚

個人的に②③番については少し小さめの59mm×97.75mmぐらいにした方がおさまりが良かったです。

押し切りのガイド

私はタイルにカットの墨付けをする時間を省くために、押し切りにガイドとなるものをセットしました。
私が作ったガイドは下記の通りです。

これがある事で、タイルカットの寸法で解説している⑧⑨⑩を墨付けなしでカットすることができました。

気を付けておきたいポイントの優先順位

タイル張り技能士1級の実技試験で気を付けておきたいポイントの優先順位は下記の通りです。

  1. 仕上がり寸法の精度
  2. 仕様
  3. 制限時間

仕上がり寸法の精度はかなり気を付けたほうが良いでしょう。
タイル張りは建築工事の中でも「仕上げ」に分類される作業なので、1mmでもずれれば減点は避けられないはずです。

仕様に関しましては、タイル張り技能士1級の技能検定を申し込んだ後、試験前にあらかじめ送付されてくる実技試験問題に記載されています。
私は実技試験の時にレンガのシゴキ塗りを飛ばしてしまい、試験終了後に検査員の人から「何でシゴキ塗りをしなかったの?」と尋ねられました。

単純に慌てていたのでその作業を忘れていたのですが、わざわざ尋ねられるという事はしっかり見られているという事です。
仕様通りにするのは上手い下手ではなく、ただ覚えておけばよいことなので、ここで減点になるのはとてももったいなかったです。

制限時間については制限時間内に終われば減点はないので、時間ギリギリまで仕上がり寸法の精度を高めたり、レンガやブロックの目地の詰め忘れや清掃をしておくべきです。
制限時間が過ぎたとしても、仕上がり寸法を確認して大幅にずれていたら手直しするほうが減点が少なくて済みそうです。

タイル張り技能士1級実技試験が不合格になったことについての反省点

反省点は色々ありますが、練習不足が一番の原因だったように思います。

今回の練習では時間を計測しながら作業したので、その都度わずかに休憩できていました。
体力がない私にとっては、そのちょっとした休憩が大きかったのだと思います。

また、練習では作業範囲を大きくとっていたのでのびのびと作業できていましたが、本試験では作業範囲が狭かったことでかなりのストレスを感じていました。
これらの反省点を踏まえて、来年は作業範囲を狭くして時間計測もなしで10回ぐらい練習できるようにスケジュール調整をします。

タイル張り技能士1級を取得したら何ができるの?

主に下記の3つです。

  1. タイル・れんが・ブロック工事業の建設業の許可取得に役立つ
  2. タイル・れんが・ブロック工事の専任技術者になれるので入札工事の条件を満たしやすい
  3. 登録基幹技能者講習の資格要件3つのうち1つをクリアできる

建設業の許可取得については、実務経験10年以上で建設業の許可を取得する場合に比べると、実務経験を証明するための見積書と請求書が不要になります。
タイル張り技能士2級でも建設業の許可は取得できるので、1級も2級もお役立ち度に差はありません。

入札工事については、タイル張り工事が含まれる工事において、1級または2級タイル張り技能士が常駐することが条件になっていれば、その条件を満たせるという事です。
専任技術者が必要になるような工事を請けていないのであればタイル張り技能士1級は不要です。

登録基幹技能者講習については、タイル張り技能士の場合は「実務経験10年以上」「職長経験3年以上」「タイル張り技能士1級」であることが受講条件となっています。
タイル張り技能士1級を取得すれば、この条件の1つを満たせるという訳です。

タイル張り技能士1級の上はないの?

2023年10月20日時点ではありません。
他の職種であれば1級の上位の特級が設けられていることもあるようですが、今のところのタイル張り技能士の最上級は1級です。


はい、という事でタイル張り技能士1級実技試験のCAD施工図と墨出し図については、私が作ったものでよければページ上部のリンクからダウンロードしてご利用ください。
床タイル下地モルタルの厚さを20mmにしていますが、その理由は水平器の厚さが20mmなので定木代わりに使うとちょうど良かったからです。

以上、「タイル張り技能士1級実技試験のCAD施工図と墨出し図」でした。