「コロナ禍だけど技能実習生は一時帰国できてるの?」
国によって違いはあるようですが、フィリピンへの一時帰国は問題なくできています。
私が勤めている会社の技能実習生一時帰国スケジュールのサンプルは以下の通りです。
6月29日 | 帰国準備のため監理団体の施設で宿泊 |
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6月30日 | フィリピンに帰国 |
7月1日~7月14日 | マニラ市内の指定されているホテルで隔離 |
7月15日 | 地元に移動 |
7月16日~8月30日 | 休暇 |
8月31日 | 空港に移動 |
9月1日 | 日本に再入国 |
9月2日~9月15日 | レジデンストラック期間 |
9月16日 | 寄宿舎に移動 |
9月17日 | 作業再開 |
コロナウィルス対策のため、フィリピンと日本合わせて約4週間の隔離期間が設けられています。
本人たちとの協議により合計休暇期間は2.5か月(約80日)になりましたが、実際に技能実習生本人たちが地元で過ごせる休暇日数は45日程度しかないのは不憫に思います。
さて、それでは今回の帰国スケジュールについてもう少し掘り下げた内容をお話していきます。
目次
帰国準備のため監理団体の施設で宿泊
私が勤めている会社の監理団体ではパスポートや在留カード忘れ防止や寝坊して飛行機に乗れなくなるような事態を避けるために、監理団体の施設で1泊させるようにしています。
また、送迎の際に交通事故や渋滞があるかもしれませんし、悪天候で待機するような場合は技能実習生が不安になるでしょうから、メンタルケアのためにも監理団体のスタッフが沢山いるところで過ごさせるのだと思います。
凄く安心できる配慮ですが、これらのサービスはタダではありません。
しっかりと請求されたので、一見親切に見えるけどやっぱり商売なんだよね、と改めて思いました。
フィリピンに帰国
飛行機が無事に飛べばフィリピンに帰国できます。
それにしても、コロナウィルスが蔓延する2019年以前では、天候以外で飛行機が飛ぶかどうかを心配することになるとは夢にも思ってもいませんでした。
今では当たり前のように皆がマスクを着けて、もし濃厚接触者の疑いがあれば市販されているPCR検査キットでセルフチェックして、陰性であった場合でも人の目を気にしてできるだけテレワークをして過ごしています。
技能実習生が日本に戻ってきたときに、フィリピンではどんな風に生活様式が変わったのか聞いてみようと思います。
マニラ市内の指定されているホテルで隔離
今回帰国した技能実習生の地元がマニラに近かったので、マニラの国際空港で飛行機から降機しています。
他の国際空港を利用した場合は、その空港がある都市で隔離されることになります。
さて、マニラの国際空港についた後はマニラ市内のホテルに隔離されることになりますが、その期間は約2週間です。
隔離期間中の食費や宿泊費につきましては、フィリピン政府が負担してくれます。
隔離期間中にPCR検査で陰性の確認が出来たら外出許可が下ります。
地元に移動
帰国して隔離されてPCR検査で陰性を証明出来たら、やっと地元に帰ることができます。
スケジュール通りに進むと、帰国から地元に移動するまでに2週間以上かかることになります。
でも実際はもう少し短い期間で地元に帰ることができるようです。
その理由は、マニラ市内では2週間という隔離期間を厳格にしていないから、だそうです。
隔離期間中の費用を政府が負担することになっているというのが一番の原因でしょうが、陰性の人をだらだら宿泊させておくよりもさっさとコロナ陰性を証明して地元に帰ってもらうほうがお互いに利益があります。
このような適当さ加減を柔軟さととらえるか杜撰さととらえるか、悩ましいところです。
休暇
技能実習生にとっては地元に到着してからが本当の休暇の始まりです。
帰国前に日本で沢山のお土産を買って帰っていたので、しばらくは連日連夜のパーティーになっていることでしょう。
今回帰国した技能実習生は日本で飲んだハイボールが気に入ったようで、炭酸を作れる機械を買って帰りました。
どうやらフィリピンには炭酸水が無い?らしく、当初は500mLの炭酸水を大量に買って帰ろうとしていましたが、説得して日本で販売されている炭酸水メーカーをお土産として持たせました。
空港に移動
45日間の休暇を満喫した後は、また技能実習生として日本に戻るために空港に移動します。
休暇中や移動中にコロナウィルスに感染していなければ良いのですが、少し心配になります。
今回、この記事の例に挙げている技能実習生がまだ入国していないので確定情報ではありませんが、フィリピンを出国する前にPCR検査を受けて陰性の証明書を取得しなければ日本行きの飛行機の搭乗することはできないはずです。
ですから、もしここで陽性反応が出てしまった場合は当分日本に戻ることはできなくなります。
日本に再入国
PPCR検査で陰性を証明出来て無事に日本に再入国できたとしても、今度は日本のルールによってまた隔離されることになります。
海外渡航でこんなにも時間を奪われてしまうのは、本人にとって非常に大きなストレスです。
ただ、それでも日本に戻ってきてもらわなければ業務に支障が出てしまうので、申し訳ないのと言葉では表現しづらい業務遂行責任が混ざった複雑な気持ちです。
レジデンストラック期間
私はこのような制度があることを今回初めて知ったのですが、レジデンストラック(Residence Track)とは、技能実習生のような在留資格を取得している外国人の入国を、一定のルールを課したうえで認める制度らしいです。
英語の意味を調べるためにResidenceとTrackをそれぞれ直訳してみましたが、「住居」「追跡」のような感じとしか分かりませんでした。
まあ何にしてもレジデンストラックのルール上14日間の待機期間が必要とのことで、再入国したときに利用した空港付近のホテルに2週間隔離されます。
ここでの宿泊費は企業持ちなので、監理団体から後で請求されます。
また、レジデンストラック期間開始後3~4日目にPCR検査が行われるそうですが、こちらの費用についても企業持ちだそうです。
毎回毎回、すごくお金がかかります。
寄宿舎に移動
レジデンストラック期間が終了したら、やっと寄宿舎に移動できます。
帰国から再入国までの道のりは中々険しいです。
これがいつまで続くのかはわかりませんが、安全と健康に配慮する生活を当たり前として受け止めていくしかありません。
世代によっても考え方に差があるでしょうから、配慮生活を受け入れられない人にとっては息苦しい時代になってしまいましたね。
作業再開
私が勤めている会社では、今回戻ってきた技能実習生が作業を再開すると同時に、別の技能実習生が帰国することになっています。
本人たちは全員同じ時期に帰国したかったようですが、労働力を少しでも減らしたくなかったのでこのようなところてん方式で納得してもらいました。
フィリピン以外の国でも予定通り帰れるの?
ベトナムやカンボジアの場合は、帰国数日前ぐらいに突然飛行機が飛ばなくなったという話を数回耳にしました。
要因は明確ではありませんが、諸外国政府のコロナ対策や飛行機会社の悪い意味でのいい加減さだと思います。
単なる推測ですが、日本は安全とは言えないからとりあえず入国拒否しておこう、とか、搭乗予約だけ受け付けておいてダメだったらキャンセル返金しよう、といったような軽い考えに振り回されているのかもしれません。
とは言え、日本の技能実習制度のルール上、技能実習3号の人たちに一時帰国をさせる必要がありますから、振り回されるのが分かっていても搭乗予約をせざるを得ないのが悔しいところです。
ベトナムとカンボジア以外は、一時帰国できなかったという話を聞いたことはないので予定通り帰れるのではないでしょうか。
一時帰国させれなかったらどうなるの?
技能実習期間が終わるまでに一時帰国をさせれなかった場合は、その理由によってペナルティの内容が変わります。
もし、特段の事情がないにもかかわらず一時帰国をさせなかったのであれば、技能実習生受け入れ企業の認定が剥奪されてもおかしくはありません。
コロナウイルス感染症の影響で本国に帰国できないといった特段の事情がある場合で技能実習の在留期間が満了した場合は、在留資格を特定活動に切り替えて滞在することが可能です。
はい、ということで、コロナ禍でも技能実習3号のフィリピン国籍技能実習生は一時帰国できています。
ただ、帰国してもフィリピンで2週間隔離、再入国しても日本で2週間隔離されるので、休暇らしい休暇にはなっていません。
また、この記事を執筆している2021年7月24日時点での情報なので、今後の状況次第では一時帰国のルールが大きく変更されることもあります。
ご注意ください。
以上「【2021年度版】フィリピン国籍3号技能実習生の一時帰国スケジュール」でした。