【内税(税込み)】【外税(税抜き)】それぞれの消費税額計算方法

「内税と外税それぞれの消費税額ってどうやって計算したら良いの?」

消費税額の計算式は以下の通りです。

内税(税込み)の消費税額の計算式
内税の消費税額 = 内税の価格 ÷ (1 + 消費税率) × 消費税率
外税(税抜き)の消費税額の計算式
外税の消費税額 = 外税の価格 × 消費税率

内税の消費税額を計算するのが少し面倒臭いです。
例えば自動販売機に売っている税込み130円の軽減税率対象となっている缶コーヒーの消費税額は以下のように計算します。

内税(税込み)130円の消費税額(消費税率8%の場合)
130 ÷ (1 + 0.08) × 0.08 = 9円
※小数点以下の端数は切り捨てています。

小数点以下の消費税額の取り扱いについては事業者側の自由ですので、もしかしたら9.6円を切り上げて10円が消費税額になっているかもしれません。
大抵の場合は小数点以下を切り下げにしているそうですが、こればっかりはその事業者に問い合わせなければ確実な答えはわかりません。

内税の本体価格を知りたい場合は「税込み価格 ÷ (1 + 消費税率)」で計算できます。税込み130円の缶コーヒーなら、130÷1.08=121円(小数点以下切り上げの場合)となります。

さて、次は税抜きの消費税額の計算です。
特に難しくはありませんが、税抜き3980円の商品の消費税額は以下のように計算します。

外税(税抜き)3980円の消費税額(消費税率10%の場合)
3980 × 0.1 = 398円

消費税率が10%の場合は計算が簡単で良いですね。
しかし、2021年8月14日時点では消費税率が8%と10%の2種類あるので、これを知らない人はふとした時に混乱することがあるかもしれません。

今の消費税率ってどうなってるの?

2021年8月15日時点での消費税率は以下のようになっています。

  • 標準税率・・・10%
  • 軽減税率・・・8%

標準税率と軽減税率の2種類が共存している状態です。
それぞれ税率が違うところがややこしいですね。

なぜこのように2種類の税率になっているのかと言うと、低所得者に対する配慮の結果、とのことです。
所得が高くても低くても食べていかなければ生きていけないので、外食や酒類を除く飲食料品を対象に消費税率の軽減措置が取られ、軽減税率となっています。

ただ、この軽減税率の対象となっているものの選定基準がよくわかりません。

例えば、自動販売機で売られている缶コーヒーは軽減税率の対象なので消費税率8%です。
しかし、喫茶店で売られているコーヒーは軽減税率の対象ではないので消費税率10%です。

どちらも同じ飲料で外食だと思うのですが、この差は一体何なのでしょうか。
調べても良くわかりませんでした。
それよりも分からないのが水道水と新聞です。

水道水は間違いなく飲料で自宅で飲む分には外食に当たらないはずですが、軽減税率の対象ではありません。
一方で週2回以上発行される定期購読の新聞は軽減税率の対象です。

缶コーヒーは軽減税率の対象で水道水が対象外の意味が分かりません。
あとこれだけ衰退している新聞が軽減税率の対象となっているのに、スマートフォンのデータ通信料が軽減税率の対象外になっているのは全く理解できません。

増税を世間に受け入れてもらうために軽減税率という仕組みを考えたんでしょうが、標準税率10%だけのほうがシンプルで分かりやすかったのではないでしょうか。
⇒「軽減税率制度」について教えてください。(財務省)

軽減税率っていつまで続くの?

わかりません。
消費税法第170条と第171条に軽減税率について記載がありますが、期限については言及されていません。
ただ、消費税法第171条に以下のような気になる記載があります。

消費税法 附則(平成二八年三月三一日法律第一五号)抄

(消費税の軽減税率制度の円滑な導入・運用等に向けた措置)
第百七十一条 2 政府は、消費税の軽減税率制度の円滑な運用及び適正な課税を確保する観点から、中小事業者の経営の高度化を促進しつつ、消費税の軽減税率制度の導入後三年以内を目途に、適格請求書等保存方式の導入に係る事業者の準備状況及び事業者取引への影響の可能性、消費税の軽減税率制度の導入による簡易課税制度への影響並びに消費税の軽減税率制度の導入に伴う経過措置の適用状況などを検証し、必要があると認めるときは、その結果に基づいて法制上の措置その他の必要な措置を講ずるものとする。

消費税の軽減税率制度が導入されたのは2019年10月1日なので、2022年10月1日以内に何かしらの動きがあるかもしれません。
「消費税の軽減税率制度の導入後三年以内を目途に」の目途という言葉には目標という意味があり、目標はあくまでも目標なので、最悪何の動きがなくても問題になることはないでしょう。

消費税額が小数点以下になったときは切り上げるの?切り下げるの?それとも四捨五入するの?

決まりはありません。
事業者の裁量に委ねられています。

⇒財務省:総額表示に関する主な質問(Q9) 現在の「税抜価格」を基に「税込価格」を設定する場合に円未満の端数が生じることがありますが、どのように処理して値付けを行えば良いのですか。

とは言うものの、日本の多くの 企業は切り下げているそうです。
おそらく、切り上げてしまうと世論からのバッシングリスクがあるでしょうし、四捨五入を選択したとしてもバッシングのリスクをゼロにすることはできないからでしょう。

売り上げがそれほど多いとは言えない企業や個人にとっては1円未満の事なんて本当にどうでも良い事なのですが、こういったルールこそ政府が責任をもって決めてほしいものです。

税込み表示は当たり前になってるの?

はい、そうです。
不特定多数に金額を見せる場合は税込み表示が義務付けられています。

⇒国税庁:No.6902 「総額表示」の義務付け

逆に不特定多数ではない個人から個人、個人から企業、企業から個人、企業から企業に提出するような見積書・契約書・請求書等については、総額表示義務の対象とはなりません。
もし、税込み表示をしなかった場合でも今のところ罰則規定はありません。

⇒消費税法第63条(価格の表示)

世界的に日本の消費税率は高いの?

2021年8月15日現在、日本の消費税率は世界的に見ても高くはないです。
一番消費税率が高い国はハンガリーの27%です。

⇒財務省:消費税など(消費課税)に関する資料

日本以外の国では消費税の事を付加価値税と称していることもあります。

アメリカにも消費税っぽいものはありますが、日本のように何でもかんでも課税される消費税ではないので、消費税率は0%となっています。
中東のクウェートやバーレーンも消費税はありません。

近年では 財政難の影響もあって 消費税0%の国でも消費税導入が前向きに検討されています。

消費税が0%だから、消費税が27%だからと言って一概に国の良し悪しを判断出来るものではありません。
もしかしたら他で徴収されている税金額が高いかもしれませんし、消費税が27%でも国民の幸福度は高いのかもしれません。

消費税(付加価値税)の標準税率と幸福度の比較【2021年の情報】
国名標準税率幸福度スコア
ハンガリー275.992
クロアチア255.882
デンマーク257.62
スウェーデン257.363
ノルウェー257.392
フィンランド247.842
ギリシャ245.723
アイスランド247.554
ポルトガル235.929
イタリア226.483
ポーランド226.166
スロベニア226.461
ベルギー216.834
チェコ216.965
アイルランド217.085
ラトビア216.032
リトアニア216.255
オランダ217.464
スペイン216.491
ブルガリア205.266
オーストリア207.268
エストニア206.189
フランス206.69
スロバキア206.331
イギリス207.064
キプロス196.223
ルーマニア196.14
ドイツ197.155
チリ196.172
コロンビア196.012
マルタ186.602
トルコ184.948
ルクセンブルク177.324
イスラエル177.157
メキシコ166.317
ニュージーランド157.277
中国135.339
フィリピン125.88
オーストラリア107.183
日本105.94
韓国105.845
カンボジア104.83
インドネシア105.345
ラオス105.03
ベトナム105.411
スイス7.77.571
シンガポール76.377
タイ75.985
カナダ57.103
台湾56.584
アメリカ06.951
クウェート06.106
バーレーン06.647

出典1:【財務省】付加価値税率(標準税率及び食料品に対する適用税率)の国際比較 2021年1月現在
出典2:World Happiness Report 2021


はい、という事で、内税と外税それぞれの消費税額の計算式は以下の通りです。

内税(税込み)の消費税額の計算式
内税の消費税額 = 内税の商品価格 ÷ (1 + 消費税率) × 消費税率
外税(税抜き)の消費税額の計算式
外税の消費税額 = 外税の商品価格 × 消費税率

外税の消費税額を求めるのは難しくありませんが、内税の消費税額を計算するのが少し面倒なので慣れていくしかありません。
何度かやっていれば当たり前のように計算できるようになります。

以上「【内税(税込み)】【外税(税抜き)】それぞれの消費税額計算方法」でした。