マイコンの合図を細かく入り切りして、モーターの速さを変えるしくみを学ぶ

マイコンの合図を細かく入り切りして、モーターの速さを変えるしくみを学ぶ

前回は、マイコンの合図で、モーターを回したり止めたりしました。

今回は、その合図を細かく入り切りして、モーターの速さを変えました。

今回おぼえてほしいのは、この3つだけ。
・「入」の時間の割合を下げるほど、モーターはゆっくり回る
・割合を下げるほど、電流が減る
・電流が減れば、ドローンは長く飛べる

おことわり

これは私が手元の1台でやった記録です。数字は部品によって変わるので、実際に試すときはご自分の部品の説明書を確認してください。

モーターにプロペラを付けた

モーターの軸にプロペラを差しこんでいるところ

モーターにプロペラを付けました。回る速さの違いが、目で見えるようにするためです。

2つの回路を、2枚の板に分けて組んだ

前回の2つの回路。モーターを回す回路と、マイコンの合図の回路がFETでつながる

回路は前回と同じ2つです。今回は、ブレッドボードも2枚に分けて組みました。

板を分けると、何がいいんですか?

どの部品がどっちの回路か、見て分かりやすくなるんだ。

2枚の板の配線図。つながっている所どうしは同じ色

2枚の板は、合図の線とGNDの線の2本だけでつなぎます。

たった2本でいいんですか?

合図を送る線と、その帰り道の線。この2本で足りるんだ。

組み上がった2枚の板。上がモーターの回路、下がマイコンの回路

電気の通り道

電気がどこを通るのかを、絵で順番に追いました(動画の 2:27 からの場面です)。

絵に出てくる足の名前は、英語の頭文字です。

名前 元の英語と意味 動画での呼び方
マイコンの D7 の D Digital(デジタル)の頭文字。入か切かで合図を出す足 D7 の足
FETの G Gate(ゲート=門)の頭文字 合図の足
FETの S Source(ソース=源)の頭文字。電子が入ってくる口。電池の-側につなぐ 通り道の足
FETの D Drain(ドレイン=排水口)の頭文字。電子が出ていく口。モーター側につなぐ 通り道の足

プログラムを書き込んだ

マイコンへのプログラムの書き込みが終わった画面

マイコンに、押しボタンを押すたびに「入」の割合を 100% → 75% → 50% → 25% → 止まる と変えるプログラムを書き込みました。

「入」の割合って、何ですか?

「入」と「切」をくり返すうち、「入」にしている時間がどれだけあるか、だよ。

書き込んだら、USBを抜きました。マイコンは、モバイルバッテリーで動かします。

「入」の時間の割合を下げるほど、モーターはゆっくり回る

押しボタンを押すたびに、プロペラがゆっくりになる

電池のスイッチを入れて、押しボタンを押しました。押すたびに、プロペラがゆっくりになりました。

でも、カクカク止まったりはしていませんね。

マイコンは1秒に1000セット、「入」と「切」をくり返している。速すぎて、モーターが止まる間がないんだ。

合図の入り切り。入→切の1セットが1000分の1秒
割合 入 切
100% 入りっぱなし
75% 0.00075秒 0.00025秒
50% 0.0005秒 0.0005秒
25% 0.00025秒 0.00075秒

「入」の時間の割合を下げるほど、モーターはゆっくり回る。この方法を PWM というよ。
PWM は Pulse Width Modulation(パルス幅変調)の頭文字。「入」の時間の幅を変える、という意味だ。

割合を下げるほど、電流が減る

電池とモーターのあいだにテスターをはさんで、割合ごとの電流を測りました。テスターは10Aの端子で測ります。

割合ごとのテスターの表示。100%で0.8504、75%で0.7022、50%で0.5206、25%で0.3042
「入」の割合 電流(私の場合)
100% 0.85A
75% 0.70A
50% 0.52A
25% 0.30A

割合を下げるほど、電流が減っていますね。

電流が減れば、そのぶん電池が長持ちする。

電流が減れば、ドローンは長く飛べる

0.85Aのドローンは電池が空になって降り、0.30Aのドローンはまだ飛んでいる絵

絵は、電流による飛べる時間の違いを表したものです。ドローンを飛ばして測ったものではありません。

ドローンにも関係があるんですか?

電流が減る=電池の消耗が減るから、そのぶん長く飛べるんだ。

まとめ

・「入」の時間の割合を下げるほど、モーターはゆっくり回る
・割合を下げるほど、電流が減る
・電流が減れば、ドローンは長く飛べる

次回は、スマホからモーターを回します。

同じことをやってみたい方へ

  1. 部品をさわる前に、静電気を逃がす。蛇口など、むき出しの金属にさわってから始めます。組み始めてからは、ブレッドボードのGNDの列に先にふれてから部品をさわります。
  2. 電池のスイッチを切ったまま、配線図のとおりに挿します。線は色ごとにつなぎます:黒 → 赤 → 紫 → 青 → 緑 → 黄。
  3. 2枚の板をつなぐ黒い線(GND)を忘れると、動きません。
  4. マイコンにプログラムを書き込んだら、USBを抜く。マイコンはモバイルバッテリーで動かします。
  5. 電池のスイッチは、最後に入れます。押しボタンを押すたびにプロペラがゆっくりになれば成功です。
  6. 電流を測るときは、テスターを電池とモーターのあいだにはさみ、10Aの端子で測ります。

ダイオードは帯の向きに注意。帯はプラスの列へ。逆だと、ダイオードが焼けるおそれがあります。

もっと知りたい方へ

そんなに速く入り切りして、こわれないのか

1秒に1000セットも入り切りして、こわれないんですか?

FETには、機械のスイッチのようなこすれて減る所が無い。だから、速く入り切りしても傷まないよ。

GNDとは

GND(グランド)は Ground(地面)の略で、電気の帰り道のこと。
マイコンの合図も電気なので、出ていく道(合図の線)と、戻ってくる道(GNDの線)の両方が要る。
2枚の板のGNDをつながないと、戻る道が無いので合図が届かず、FETは動かないんだ。

D7 を使う理由

D0・D8・D9 は、電源を入れた瞬間に、マイコンが起動のしかたを決めるために読む足。
今回の合図の線には、FETを確実に切っておくための10kΩがつながっていて、GNDのほうへ引いている。起動に使う足でこれをやると、起動のしかたが変わって、プログラムが動き出さないことがある。
だから、その3本を避けた。残りの足ならどれでも使えて、D7 はその1本だよ。

ダイオード

FETの合図を切った瞬間、モーターはまだ動いていて電気を生んでいる、
その電気をモーターへ戻す道が、ダイオード。
これがあればFETの損傷を防げるよ。

使ったもの

物 私が使ったもの 値段のめやす
マイコン XIAO ESP32C3 約1,000円
FET IRLZ44N 数百円
抵抗 220Ω・10kΩ 各1本 詰め合わせで数百円
ダイオード 1N5819 数十円
押しボタン タクトスイッチ 1個(4本足・ブレッドボードに挿せるもの) 数十円
モーター・プロペラ 第2回と同じモーター(716)・31mmのプロペラ 第2回を参照
電池ボックス・電池 単3×3本 約500円
ブレッドボード 小さいもの2枚・ジャンプワイヤ 数百円〜
テスター MAYILON HT118E(10Aまで測れるもの) 手持ちのもの
モバイルバッテリー マイコンをパソコンから外して動かすため 手持ちのもの