スパメジを使用した感想

「エポキシ樹脂系のスパメジっていう目地材は使いやすいの?値段は?劣化は?」

はい、まずは使いやすさですが、ハッキリ言って使いにくいです。
樹脂系でネバつきが凄いので、力を込めて目地詰めをしなければ目地の隙間にスパメジが入っていきません。

特に目地詰め範囲が広い場合は、腕の力に自信がある人でなければ全然仕事になりません。
それに気温が高いとすぐに硬化してしまうので、夏場は地獄の苦しみを味わうことになるでしょう。

お値段について、セメント系目地材と比べると30倍前後高くなります。
もちろん性能に応じた値段設定なので文句はありませんが、予算に余裕がある場合でなければ手を出しづらい商品であることは間違いありません。

劣化について、感覚的に10年以上は持ちそうです。
スパメジはエポキシ樹脂系なので、硬化するとカッチカチになります。

もし、目地部分をたわしで頻繁に掃除するような場合でも、10年以上は持つでしょう。
この劣化に強いところがスパメジの最大の押しポイントであり、私が好意的に思っているポイントでもあります。

さて、足早な感想はこれくらいにして、もう少し掘り下げた感想を述べていきたいと思います。

スパメジの使いやすさ

冒頭でもお伝えしましたが、スパメジはまあ使いにくいです。
スパメジに限らず樹脂系の目地材全般に言えることですが、ネバつきをコントロールするために単純に力が必要になりますし、目地もふき取りづらいです。

使いにくさについて順を追ってご説明いたします。

撹拌しにくい

スパメジは主剤・硬化剤・粉体がセットになっており、それぞれを適量混ぜ合わせることで塗り付けが可能になる材料です。

少量であれば手作業で撹拌しても苦にはなりませんが、3kg以上混ぜるのであれば機械を使わないと人間が持ちません。
水あめを手作業で混ぜるような感覚に似ているので、段々と重みを感じてきます。

また、たとえ撹拌機を使ったとしても、攪拌機のスクリュー部分にスパメジがまとわりつくので、それらを除去するにもひと手間かかります。
さらに付け加えておくと、撹拌したスクリューを使い捨てにしないためには水洗いをする必要があるので、道具の清掃にかなりの時間を奪われることになります。

塗り付けにくい

練りたてほやほやのスパメジであればまだマシですが、気温と時間によって少しずつ硬化していくので、徐々にスパメジが団子状になっていきます。
鏝で伸ばそうとしてもゴロゴロするので、中々目地の隙間に入っていきません。

ふき取りにくい

タイル表面に付着したスパメジをスポンジで水拭きして仕上げるのですが、10回ふき取ったとしてもエポキシ樹脂のネバつきはとれません。
おそらく100回拭いてもネバネバしたままです。

撹拌しにくい、塗り付けにくい、ふき取りにくいの3拍子揃っているので、作業性は恐ろしく悪いです。
60度以上のお湯を使えばふき取りやすくなるみたいですが、実作業で60度以上の熱湯を扱える人がいるのかどうか甚だ疑問です。

スパメジの値段

スパメジの製造元は大建化学さんという会社なのですが、私が所属している会社ではKYタイルさんというタイルメーカーを通してスパメジを購入しています。
KYタイルさんではスパメジの定価を公表しているので、それを参考にして価格表を作りました。

KYタイルさんが公表しているスパメジの定価
入数 定価
2.5kgセット 10,200円
5.0kgセット 16,800円
10.0kgセット 28,000円

実際に販売されている値段は定価よりも安く設定されている場合がほとんどですが、私がググって検索したところインターネットの最安値販売店でも定価の約70%でした。

タイルの目地幅や目地深さにもよりますが、50角タイルの場合で1㎡当たり約2.5kg使用するので、目地材だけでも5,000円~10,000円くらいを想定しておかなければなりません。
セメント系の目地材であれば1袋25kg入りがインターネットの最安値販売店で約1,500円で売られていたので、1㎡当たりに約2.5kg使用した場合でも150円くらいで済みそうです。

ここで表記している値段は原価ですので、業者に依頼する場合は手数料とリスクが上乗せされることを想定してください。

スパメジの劣化

スパメジは硬化すると鋭利なものでも傷つかないくらい固くなるので、ポロポロと取れるような劣化はまずありません。
スパメジを毎日たわしで掃除したとしても、表面についた汚れが取れるだけでスパメジが削れることもありません。

個人的には、30年は劣化しない、と思っています。
ただ検証をしたわけではないので、10年以上は持つだろう、という表現にしておきます。

スパメジはどんなときに有効なの?

スパメジは劣化に強いので、銭湯やフェリーの大浴場のように毎日徹底的な掃除をするような場所で有効です。
もちろん、個人宅で浴室やキッチン廻りにタイルを張られていて、頻繁にお掃除をするような場合も有効です。

セメント系の目地は掃除すればするほど削れていきますが、スパメジは固いので掃除しまくっても全然削れません。

循環式の浴槽でもスパメジは有効なの?

有効です。
循環式の浴槽はレジオネラ症対策として塩素系の薬剤を消毒薬として使用しているケースがありますが、スパメジは耐薬品性能が高いので分解される心配がありません。


はい、ということで、エポキシ樹脂系のタイル目地材スパメジは使いにくくて値段も高いですが、劣化に強いですし耐薬品性能も高いので水産加工場やフェリーの大浴場などにはおススメです。
特に循環式の浴槽などでは目地補修の心配がなくなるので、興味のある方は小規模の範囲で試してみてはいかがでしょうか。

以上、スパメジを使用した感想、でした。