タイル工事店が作ったQ-CAT施工計画書のテンプレート

「Q-CAT施工計画書の様式をダウンロードしたいんだけどどこかに無いかなー。」

ここにあります。
タイル工事店に勤めている私が作りました。

このテンプレートは全国タイル工業組合さんと一般社団法人全国タイル業協会さんが作成された「外装タイル有機系接着剤張りQ-CAT工事標準仕様書・同解説」の記載内容を元にして私が少し手を加えました。

ほとんど丸写しですが全ての要点を押さえています。
それでは私が作ったQ-CAT施工計画書の様式についてご説明いたします。

表紙

表紙に記入するようにした項目は下記の通りです。
一般的な項目なので説明不要ですね。

表紙に記入するようにした項目
  1. 工事名
  2. 施工会社
  3. 施工計画書提出日

目次に記載した内容は「外装タイル有機系接着剤張りQ-CAT工事標準仕様書・同解説」を参照しています。

総則

総則の内容は「外装タイル有機系接着剤張りQ-CAT工事標準仕様書・同解説」を丸写しした作りになっています。
手を加える箇所があるとすれば適用図書の内容ぐらいです。
当該工事の設計図書の名前を入れるとオリジナル度が増します。

適用下地一覧表の画像はJWで作ったものを画像データにして貼り付けています。
ネット検索で拾ったものではありません。

工事概要

工事概要に記入するようにした項目は下記の通りです。
元請けと施工会社が同一の場合でも、両方とも記入してください。

工事概要に記入するようにした項目
  1. 工事名
  2. 工事場所
  3. 工期
  4. 発注者
  5. 元請会社
  6. 施工会社

工事内容につきましては、有機系接着剤張りを適用する工事項目だけを記入してください。

工事組織および担当者

工事組織および担当者ページに記入するようにした項目は下記の通りです。
各項目の企業名、担当者名、連絡先を記入してください。

工事組織および担当者ページに記入するようにした項目
  1. 設計・監理
  2. 元請会社
  3. 施工会社(1次)
  4. 施工会社(2次)
  5. 施工会社(3次)

工程

工程は適宜変更してください。
工程表に表示している図形の矢印はキーボードの「Alt」キーを押しながら移動するとセルの角に自動配置されます。

使用材料

使用材料ページに記入するようにした項目は下記の通りです。
陶磁器質タイル、下地調整材、陶磁器質タイル用接着剤はQ-CATに適合している必要があります。

使用材料ページに記入するようにした項目
  1. 陶磁器質タイル
  2. 下地調整材
  3. 陶磁器質タイル用接着剤
  4. 目地材

各材料メーカーのカタログにQ-CATの認定区分が記載されているはずですが、もし分からない場合は下記のリンクから検索してください。

Q-CATの認定区分を検索できるWebサイト
  1. Q-CAT 申請システム タイル登録品一覧
  2. Q-CAT 申請システム 接着剤登録品一覧
  3. Q-CAT 申請システム 有機系下地調整塗材組合せ登録品一覧

工法

工法の内容は「外装タイル有機系接着剤張りQ-CAT工事標準仕様書・同解説」を丸写ししました。
手を加える必要はありません。

品質管理・検査

品質管理・検査の内容は「外装タイル有機系接着剤張りQ-CAT工事標準仕様書・同解説」を丸写ししました。
手を加える必要はありません。

不具合の処置

不具合の処置方法について記述がある文献が見当たらなかったので、当たり障りのない内容にしています。
もし明確な処置方法がある場合は加筆・修正をしてください。

安全・環境管理

安全・環境管理ページに記入するようにした項目は下記の通りです。

安全・環境管理ページに記入するようにした項目
  1. 安全管理組織
  2. 第三者施設への安全管理対策
  3. 工事安全教育及び訓練についての活動計画
  4. 安全・環境管理におけるその他必要事項
  5. 危険物の名称、適用法規、容器の種類、使用予定量
  6. 危険物の合計使用予定量

有機系接着剤の洗浄に使用するシンナーやアセトンは危険物です。
指定数量の5分の1以上の危険物を取り扱う場合は最寄りの消防局に相談してください。

反対に、危険物を取り扱う量が指定数量の5分の1未満であればそれほど難しい制限は設けられていないので、必要になる都度、現場に持ち込むようにすると管理が楽になります。

Q-CAT保険って何なの?

Q-CAT保険はタイルのはく落を補償する保険商品です。
ただし、タイルのはく落の原因がタイルや有機系接着剤などの材料の品質不良であることが条件です。

つまり、施工方法に関しては全く関係がありません。
それもそのはずで、Q-CAT保険の保険料を支払っているのはQ-CATに登録しているタイルメーカーや接着剤メーカーなので、工事会社に利益があるような保険内容にはなっておりませんのでご注意ください。

Q-CAT保険ってどうしたら適用されるの?

Q-CAT保険の対象とならない主な事故・免責事項に該当しなければ適用されます。

Q-CAT保険の対象とならない主な事故・免責事項
  • 事故発生日に加入者である組合員が倒産・廃業・退会していた場合
  • タイルの剥落の原因が品質不良ではなく、施工瑕疵によるもの
  • 製品性能の品質低下に関係のない経年による外観上の変化
  • Q-CAT制度により定められた設計基準に反して設計がなされた場合
  • Q-CAT制度により定められた施工基準に反する施工、その他施工上の瑕疵、または施工者の不法行為、債務不履行等による場合
  • 建物自体の変形や変位によるもの
  • 補修・増改築工事に起因するタイルの剥落
  • 天災または地盤・周辺環境・公害等に起因する場合
  • 施工基準に反する保管・取扱い等、施工管理が十分になされなかったことによる場合
  • 施工当時実用化された技術では予測することが不可能な現象による場合
  • 外装工事以外の工事上の不具合による場合など

出典:Q-CAT保険のご案内

Q-CAT保険はタイルと有機系接着剤の品質不良によるタイルのはく落が証明できなければ補償されないので施工方法がどうなっていようが関係ないと思いますが、施工基準に反する保管・取扱い等、施工管理が十分になされていることを証明する資料が必要になります。

ですから、建設工事標準仕様書やQ-CAT工事標準仕様書に基づいて作成された施工計画書にしたがって、施工記録を残しておかなければならないという事になります。

⇒Q-CAT施工記録のテンプレート

Q-CAT保険で補償されることってあるの?

ほぼ補償されることはないでしょう。
なぜなら、Q-CAT保険は「認定品の品質不良を原因として発生したタイルの剥落」に対してのみ適用されるからです。

私の経験上、明確に品質不良であると断言できるタイルと有機系接着剤は近年では見たことがありません。
しいて言えば、タイルの表紙張りが悪いとか、タイルの寸法精度が多少悪いぐらいです。

もし補償されたとしてもそれは工事会社のためではなく材料メーカーの落ち度に対して支払われるという意味合いが非常に強いので、工事会社はQ-CAT保険をあてにすべきではありません。

Q-CAT保険の適用にかかる余計なコストはどれぐらいなの?

概算ですが、Q-CAT保険の適用にかかる余計なコストは以下の通りです。

費用項目 最小単位 最小単位当たりの単価
150Mpa以上の超高圧水洗浄(コンクリート下地の場合) 1日 30万円
施工記録 1日 1万円

150Mpa以上の超高圧水洗浄は特殊な機械を必要とするので施工できる業者は限られています。
ですから高額な単価になることは珍しくありません。

また、超高圧水洗浄は作業環境によって能率が大きく変わるので、作業しやすい環境であったとしても1日当たり最大300㎡くらいで考えておくのが無難です。
例えば、1000㎡のRC造外壁タイル張り工事であれば下記のようなコスト計算になります。

【試算例】1000㎡のRC造外壁タイル張り工事にかかる余計なコスト
  • 150Mpa以上の超高圧水洗浄 × 4回 = 120万円
  • 外壁タイル張りの施工記録 × 70日 = 70万円
合計コスト・・・190万円

RC造でなければ超高圧水洗浄をしなくても問題ありません。

それにしても、材料メーカーの落ち度をフォローするために工事会社が費用をかけてQ-CAT保険に適合するように頑張るのは本当に馬鹿げていると思います。


はい、という事でQ-CAT施工計画書の様式はここにあります。
公式な様式ではありませんが、タイル工事店に勤めている私が作ったので内容に間違いはありません。

以上、「タイル工事店が作ったQ-CAT施工計画書のテンプレート」でした。