「タイル目地のエフロレッセンスを防ぐにはどうしたら良いの?」
はい、これには以下のようないくつかの方法があります。
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- 石灰石が主成分になっているセメント製品を使わない。
- セメント製品にエフロレッセンス防止剤を混ぜる。
- セメント製品に水分を通さないような処理をする。
- 諦めてエフロレッセンスを除去する。
- 諦めてエフロレッセンスが出なくなるまで待つ。
エフロレッセンスが発生する主な原因は、セメントに含まれる石灰石成分が水に溶けてできた水酸化カルシウムと空気中の炭酸ガスの反応なので、石灰石が主成分になっているセメント製品を使わない事が一番のエフロレッセンス防止方法です。
セメント系の製品を使わない工法として、例えば窯業系サイディング下地の上に有機系接着剤張りでタイルを張れば、エフロレッセンスが発生する可能性を激減させることができます。
しかしながら、予算や耐熱性を考慮したときにどうしてもセメント系の製品を使わざるを得ない状況というのはあります。
そのような場合でも、何とかしてエフロレッセンスの発生を防げるような方法について、いくつかご提案していきたいと思います。
目次
エフロレッセンス防止方法① – そもそもセメント製品を使わない
エフロレッセンスを防止するには、エフロレッセンスの原因となっているカルシウム成分を含まない材料を使えば良いだけです。
カルシウム成分を含まない材料として、タイル張り付け材の場合は有機系接着剤、タイル目地材の場合は樹脂系目地材です。
そして、タイルを張り付ける下地もモルタルやコンクリートのような水分を吸収しやすいセメント系を避けて、窯業系サイディングや押出成形セメント板を採用しましょう。
窯業系サイディング・押出成形セメント板ともにセメント成分は含まれていますが、密度が高くて遮水性に優れているのでエフロレッセンスの発生を抑えられます。
エフロレッセンス防止方法② – セメント製品にエフロレッセンス防止剤を混ぜる
私はこれまでに株式会社テクノクリーンさんが開発されたエフロカットというエフロレッセンス防止剤を利用したことがあります。
エフロカットを一般的な外壁や床のタイル目地材に混ぜて使用しました。
経過を詳しく調べたわけではありませんが、今のところクレーム案件になるほどのエフロレッセンスは発生していません。
ですから、セメント製品に含まれているカルシウム成分が外に溶けださないような働きをするエフロレッセンス防止剤をセメントに混ぜると良いかもしれません。
良いかもしれないという歯切れの悪いコメントになってしまっているのには理由があります。
それは、何だかセメントの強度が弱くなっているような感じがするからです。
エフロレッセンス防止剤を混ぜたセメントは空気量が多くなっているような感じがして、まるで卵の白身をメレンゲにしたようなふわふわした感触があります。
はっきりと強度確認をしたわけではありませんが、現在私が勤めているタイル工事店ではエフロレッセンス防止剤を使用する事をやめました。
エフロレッセンス防止方法③ – セメント製品に水分を通さないような処理をする
セメントに含まれるカルシウム成分が水に運ばれて表面に出てこなければエフロレッセンスは生じないので、セメント製品に水分を通さないような防水処理をしておけば問題解決です。
とは言え、樹脂系のような本格的な防水剤で処理をしてしまうと、せっかくのセメントの質感が失われることになります。
セメントの質感を失いたくない場合は、水性の防水剤を適用すると良いです。
私は株式会社タックアンドカンパニーさんが販売している水性インナーガードという撥水剤を使用しました。
4Lで15,400円もしました。
タイル目地のセメント部分をマスキングテープで養生してから、水性インナーガードの原液を刷毛で塗布しました。
塗布してしばらくは撥水効果が見られましたが、約1年経過すると撥水効果はほとんど残っていませんでした。
タイル目地ではなくコンクリート面に水性インナーガードを塗布した場所でも同様で、約1年経過すると撥水効果はほとんど残っていませんでした。
しかし水分が浸透しているようには見えないので、防水効果は残っているようです。
エフロレッセンス防止方法④ – 諦めてエフロレッセンスを除去する
エフロレッセンスは時間をおけば置くほど固くこびりついてしまうので、発生したのが確認出来たら短期間のうちに除去してしまいましょう。
エフロレッセンスが柔らかいうちはカッターのように先のとがったもので削ると簡単に取り除くことができます。
メラミンスポンジのような研磨を目的とした材質のものは、エフロレッセンス以外の場所も傷つけてしまうので使用しないようにしましょう。
取り除いた後は、トイレ用洗剤のサンポールやエフロレッセンス除去剤のハッカトルのようなものを散布⇒少し放置⇒スポンジで仕上げ拭きをするときれいになります。
エフロレッセンス防止方法⑤ – 諦めてエフロレッセンスが出なくなるまで待つ
セメントにカルシウム成分が残っていてエフロレッセンスの発生メカニズムが機能してしまえば、エフロレッセンスを何度除去しても再発は避けられません。
こうなったら諦めて、セメントのカルシウム成分が出尽くすまで待つしかありません。
実際に私が勤めている会社がかかわった案件で、レンガ目地からエフロレッセンスが出続けるというトラブルが発生して定期的に除去していましたが、2年くらい経過したら全く発生しなくなりました。
規模にもよると思いますが、いずれエフロレッセンスはなくなります。
エフロレッセンスに対応できる保険はないの?
ありません。
逆にエフロレッセンスが出てしまうと本来適用されるはずだったのに適用されなくなる事もあるので注意が必要です。
エフロレッセンスを放置しておくとどんな事が起こるの?
大事になるとは考えにくいですが、ひとまず考えられることを以下に列挙しました。
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- 周囲から「汚いなー」と思われる。
- エフロレッセンスの鋭利な部分を素手で触るとケガをするかもしれない。
はい、ということで、タイル目地のエフロレッセンスを防ぐには以下のような方法で対処することをご提案いたします。
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- 石灰石が主成分になっているセメント製品を使わない。
- セメント製品にエフロレッセンス防止剤を混ぜる。
- セメント製品に水分を通さないような処理をする。
- 諦めてエフロレッセンスを除去する。
- 諦めてエフロレッセンスが出なくなるまで待つ。
私は専門家ではないのでエフロレッセンス(白華現象)の具体的なメカニズムについては分かりませんが、小学生の時の理科の実験で、水酸化カルシウム水溶液と炭酸が化学反応すると白い物質が発生したことを思い出しました。
そういえばお城の壁に塗ってある漆喰にも石灰が入っているんですよね。
漆喰は真っ白であることがほとんどですが、もしかしたら気が付いていないだけでエフロレッセンスが発生しているかもしれませんね。
以上、「タイル目地のエフロレッセンスを防止する方法【5つの提案】」でした。