「タイル職人の年収っていくらぐらいなの?」
私が所属しているタイル工事会社は中国地方のサビれまくった地方都市にあるのですが、サラリーマンタイル職人であれば年収400万円、一人親方タイル職人なら年収600万円もらえれば良いほうです。
荒っぽいですが、年収の計算方法は以下の通りです。
- サラリーマンタイル職人 年収400万円の計算方法
- 12,000円(日当)×25日(1か月あたりの労働日数)×12か月+賞与200,000円×2回=400万円
- 一人親方タイル職人 年収600万円の計算方法
- 20,000円(日当)×25日(1か月あたりの労働日数)×12か月=600万円
1か月あたり25日も働いてこんだけなんかい!と思われた方。
そりゃそう思いますよね(笑)。
でも、建設業界ではこれが当たり前なんです。
その理由として、
- 労働者不足による納期の延長を認めない風潮
- 休むことが悪という風潮
- 仕事を安く請け負う無能な営業の多さ
が挙げられます。
今が10年前、20年前と比べて技術的・工法的に大進化を遂げていて機械化が進んでいるのであれば、少々の労働者不足・労働日数不足でも納期が変わることはないかもしれませんが、残念ながらそんなことはありません。
タイル業界は今も昔と変わらず、人の技術力が主力です。
ですから、労働者不足や労働日数不足になると、単純に納期に時間がかかることになります。
そして、悪いことに建設業界を構成している人たちの多くが脳筋体育会系な人たちなので、「頑張ればできる!」とか「気合と根性があればどうにかなる!」みたいな感じで、労働者不足や労働日数不足を理由に納期に時間がかかることを全く認めてくれないのです。
また、いまだに労働を美徳としている人も多いので、会社の就業規則に定められている労働免除日の土曜日や祝日に休んだとしても、なぜか「あいつは休みすぎだ!」と言われることもあります。
さらに、人手不足なのに安く請け負う無能な営業マンが多い事も、低収入・過労に追い打ちをかけています。
タイル職人になるリスク
タイル職人はタイルの切断機を使うので、ぼーっとしているとタイルと一緒に 指を切ってしまうリスクがあります。
高所での作業も多いので、墜落や転落による致命的なリスクもあります。
タイルの貼り付け材や目地材にセメント系の材料を扱うので、アレルギーを持っている人は眼や皮膚がかゆくなることもあります。
最近では有機系接着剤やシンナーも使用することが多くなってきているので、こちらもアレルギー発症リスクが高まります。
タイル職人になるメリット
タイル職人は2019年11月時点で日本に約30,000人いると言われています。
これを地域ごとの人口に当てはめると、100万人いる都市でもタイル職人が約230人しかいないことになります。
私の体感的にはこの半分くらいの人数です。
タイル職人の熟練工も高齢化に伴い減少していますし、何よりタイル職人になり手がいません。
ですから、もしかすると今から10年後や20年後には勝手にニッチな業界となり、賃金も高額になるかもしれません。
タイル職人に向いている人はどんな人?
完全に主観ですが、100点を目指せる人と汚れが嫌いな人はタイル職人に向いています。
タイルというのは仕上げ材なので、張り付けたそのままをお客さんに見られることになります。
ですから、ラインに沿って綺麗に張り付けられていて、汚れを綺麗に取り除かれているタイルは、見栄えがとても良いので喜ばれます。
タイル張りの技術を習得するためにかかる年数はどれくらい?
細かいことは抜きにして、タイル張り職人として使い物になるかどうかの目安は2か月程度で分かります。
センスのない人は、何年やっても技術が上がることはありません。
反対に、センスのある人は2か月程度練習すれば、自分で接着剤を塗ってタイルを張るくらいの事はできるようになります。
弊社には外国人技能実習生が3人いるのですが、入社後に2か月間、私が技術指導をしたところ、実践に移ったときにはそれなりの戦力になっていました。
技術や知識を教えてくれる人にもよりますが、センスがある人なら実践で3年も学べば一人前になれるでしょう。
タイル業界の今後の見通し
今後は今よりも人口が減り、労働力が減り、技術力も低下していき、供給も需要も減少していくと予想されます。
とは言え、タイル工事が全くなくなるというのも考えられません。
技術力がある人は必要とされる場が増えていくでしょう。
技術力が無くても指導力がある人なら、外国人技能実習生のよき指導者として活躍できるでしょう。
日本は世界レベルで見ると一人当たりのタイルの消費量が少ないらしいのであまりおいしくない業界ですが、海外なら大きなビジネスも夢ではありません。
英語を話せる人なら海外進出をするのも面白そうです。
タイル職人の年収は、サラリーマンタイル職人であれば年収400万円、一人親方タイル職人なら年収600万円です。
しかも1か月あたり25日働いたとして、こんなもんです。
全くおすすめはしませんが、もし建設業で職人になろうと志しているのであれば、腕力よりも技術力を必要とするタイル職人のほうが、年齢を重ねても第1線で活躍し続けられます。
以上、タイル工事店だから分かる現役タイル職人の年収【2019年11月時点】、でした。