「どうしたら有能な外国人技能実習生を採用できるの?」
有能な外国人技能実習生の採用に欠かせないのは面接です。
既に光っている原石は無いものとしてあきらめて、まずは磨けば光りそうな原石を見つける事から始めましょう。
外国人技能実習生を受け入れる前に面接をしない企業や、面接を監理団体に任せる企業もあるようですが、私は自分で面接をする事にしました。
その甲斐もあって、弊社で受け入れたフィリピン人技能実習生は、3人とも日本語の理解が早く、技術の習得スピードも早いので、たった1年で十分な戦力になりました。
ただ、外国人技能実習生候補生を面接するといっても相手は外国人なので、会話による能力測定は期待できません。
そこで私は、面接の際に重視するポイントを以下の5つに絞りました。
- 外国人技能実習生候補生を面接するときに重視したポイント
-
- 体格
- 学力
- 年齢
- 社会経験
- 愛嬌
体格を1番目に重視した理由は、求める人材が建設現場で作業をするタイル作業員なので、まずは体力と腕力がなければ話にならないからです。
細身の体よりもやや太っているぐらいの体つきで、力も人並みより優れていればなお良しと考えました。
体格に次いで重視したのは学力です。
建設業界で働く多くの日本人作業員は、小学校で習う簡単な算数ですら分からない人が多いです。
その程度の学力でも建設作業をやっていけるのですから、小学校で習う算数が80%程度分かる学力があれば十分だと考えました。
年齢については22,23歳から30歳くらいまでにしようと考えました。
10代だと失踪のリスクが高そうですし、30歳以上になると体力的にきつそうだからです。
社会経験と愛嬌はおまけ程度です。
あれば良いけど無くてもO.K.です。
と、まあこんな感じで面接するときに重視したポイントを挙げてみましたが、それぞれのポイントをどうやって推し測ったかについてご説明いたします。
体力測定方法
体力測定に利用したのは目視と腕相撲です。
目視で何をしたのかというと、相手のスタイルを見ました。
タイル工事作業は足場上での作業が多いので、身長が高すぎると足場材に頭をぶつけて脳震盪を起こすリスクが高まります。
また、足場の階段を上がったり下りたりを1日に何度も行うので、息切れしないような体型が望ましいです。
ですから、身長は175cm以下で体重は80kg以下の人が理想的です。
私が面接したときに集まってくれていたのは12人で、1人だけ身長150cmでしたが、あとは165cm~175cmでした。
体型はやせ型~ぽっちゃり型で、見た目のスタイルはどの人も悪くありませんでした。
ただ、この時すでに私の中で半分くらいの人に丸印をつけていました。
そして、12人に腕相撲をしてもらいました。
ランダムなトーナメント戦にして、単純に誰が一番腕力があるかを競い合ってもらいました。
当然というか、順当というか、優勝者は一番体格の良かった人になりました。
一番体格の良い人が優勝したことで腕相撲の不公平さが際立ってしまいましたが、みんなが思いっきり力を使ったことで小さな笑いが生まれ、少しだけ距離が縮まったように感じました。
腕相撲をするまでは空気が張り詰めているようでしたが、その後はみんなの表情が和らぎ、私好みの面接空間になりました。
学力測定方法
今回私がお世話になった協同組合では、面接をする前に簡単な学力テストをする仕組みが元々あったようなので、ありがたくそれを使わせていただきました。
学力テストの内容は以下の通りです。
-
- 算数テスト
- 英語テスト
- IQテスト
解答制限時間は算数テストと英語テストを合わせて60分です。
IQテストは60分です。
算数テストの内容
学力テストに出題されていた算数テストの内容は以下の通りです。
- 算数の試験問題
-
以下の式を解いてください。そしてあなたの回答を書いてください。
- 36.8-29.92=
- {(930÷30)×3}-93=
- 72.86+23.57=
- -376-78=
- 8³+4⁴=
- 25÷125=
- {-9(-3)}-3=
- 5³÷5=
- (235×3)-(140÷7)=
- 7-18.7=
- 答え
-
- 6.88
- 0
- 96.43
- -454
- 768
- 0.2
- 24
- 25
- 685
- -11.7
1問1点の10点満点で、12人中3点が2人、4点が4人、5点が3人、6点が1人、9点が2人でした。
あんまり期待をしていませんでしたが、まあこんなものなのでしょう。
ここで5点以上の人に私は丸を付けました。
ちなみに、全く同じ問題を弊社の日本人従業員に解かせたところ、3点が2人、4点が1人、6点が2人、8点が2人、10点が1人(私)という結果になりました。
今回の面接の話とは関係ありませんが、こんなレベルの低い職場にいる自分が情けないです。
英語テストの内容
さて、次は英語テストの内容です。
英語嫌いな人は見たくもないかもしれませんが、技能実習生候補生はこんな問題を解いています。
- ENGLISH EXAM
-
Direction: Choose the letter of the best answer; Write the letter on the space provided.(20pts. for 10 mins.)
A.(Synonyms)
- Authentic Visa
A. Original B. Duplication C. Sharp D. Authorative - Mandatory Resignation
A. Austerity B. Jolted C. Obligatory D. Sensational - Rampant Hunger and Disease
A. Common B. Peculiar C. Confined D. Widespread - The Scrupulous Steward
A. Dishonest B. Upright C. Scurrilous D. Worthless - Insatiable Fund
A. Extremely Greedy B. Easily Satisfied C. Inadequate D. Pleasing
B.(Antonyms)
- Illegal Action
A. Fast B. Lawful C. Lawless D. Unlawful - Stabilized Prices
A. Fixed B. Uninformed C. Maximized D. Erratic - Vocal Host
A. Silent B. Talkative C. Diligent D. Obedient - Biased Decision
A. Unfair B. Just C. Sound D. Fair - Profitable Hobby
A. Beneficial B. Costly C. Useless D. Unyielding
- Authentic Visa
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Listening Ability
Listen carefully to the story about the “MOTH AND THE STAR” and answer the question below.
The story will read 3(three) times, 3 points each for 10 minutes.- Who set his heart on a star?
- Who told his mother about it?
- Who counselled him?
- Who else adviced him?
- What would not get him anywhere?
- Who would not heed his mother’s advice?
- What did the star do every night?
- What did the moth start doing?
- What did the moth do at dawn?
- How did the moth feel in his endeavour?
- 答え
-
- A. Original
- C. Obligatory
- D. Widespread
- A. Dishonest
- C. Inadequate
- B. Lawful
- D. Erratic
- A. Silent
- D. Fair
- B. Costly
- Moth
- Moth
- Mother
- Father
- Reaching the stars
- Moth
- Duck
- Flying toward
- Crawling back home
- Warn act his vain
出題ミスや綴りミスがあるかもしれませんが、こんなものだとお察しください。
私は英検準2級持ちなのですが、単語力が中学生レベルなので1~10の問題はさっぱり分かりませんでした。
あとで単語の意味をググったところ、学習レベルはおおむね英検準2級以上でした。
11~20の問題はリスニングテストなので、ふ~ん、くらいな気持ちで読んでいただければと思います。
さて、技能実習生候補生の採点結果ですが、満点は50点で12人中17点が1人、19点が2人、21点が1人、22点が2人、24点が1人、25点が1人、26点が1人、27点が1人、29点が1人、32点が1人でした。
私基準で言えば全員素晴らしいのですが、小さいころから英語にふれているフィリピン人にしては点数が低いのかな?と感じています。
IQテストの内容
大変申し訳ございません。
IQテストの問題用紙をどこに保管したのか分からなくなってしまい、ここでご紹介をすることが出来ません。
私の記憶ではたしか、以下のような問題が出題されていて、4択の中から正解を選ぶ形式だったと思います。
- IQテスト
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- 立体の展開図があります。組み立てるとどのような形になるか答えなさい。
どんな問題が出題されていたのかほとんど覚えていませんが、一般的なIQテストと比べても特別な違いはなかったと思います。
IQテストは1問1点の40問出題されていたので満点は40点で、12人中16点が1人、17点が2人、20点が5人、21点が1人、22点が1人、23点が1人、26点が1人でした。
ここでは20点以上の人に丸を付けました。
年齢による落ち着き度測定
面接時に一人一人と話をしましたが、面接という非日常的な場に居ることで緊張感が生じているので、全員落ち着いているように見えました。
ただ、これでは採用基準にならないので、年齢によって落ち着き度を測定することにしました。
集まってもらった12人の内、最年少が20歳、最年長が32歳で、あとは25歳前後でした。
日本人基準でいくと、遊び盛りは20歳~25歳ごろで、それからだんだん落ち着いていくようなイメージがあります。
このような理由から、私は25歳以上の人に丸を付けました。
社会経験があるかどうか
社会経験は全員ありました。
ウェイター、バーテンダー、建設工事作業員、溶接工、警備員などです。
私はタイル工事の技能実習生を採用したいので、できれば建設作業を経験している人を優先的に選びたかったのですが、フィリピンでは賃金が発生する仕事が毎日あるわけではなく、忙しいときにだけお仕事依頼があるそうです。
ですから、社会経験はあるけど経験値が足りていない人が多いため、技術力・接客力・営業力などの仕事力にはあまり期待しないほうが良いようです。
今、弊社で受け入れているフィリピン人技能実習生3人の職歴はそれぞれ、バーテンダー、建設工事作業員、溶接工です。
あまり気にせず選んだ結果、3人とも有能で素晴らしい活躍をしてくれています。
愛嬌があるかどうか
愛嬌を面接のたった数十分程度で判断するようなものではありませんが、それでも愛嬌があふれ出ている人はすぐにわかりました。
その人の特徴は、ぽっちゃり体型・やや垂目・いつも口角が上がっている、の3つです。
ムスッとしていて話しかけにくい雰囲気の人よりも、穏やかな表情で話しかけやすい人の方が上手な人間関係を築けやすい、という考えのもとに、弊社では愛嬌のあるその人を受け入れましたが、思った通り、色々な人から食事に誘われたり一緒に遊びに行ったりしています。
採用した人が有能じゃなかったらどうするの?
それは見る目が無かった採用者の責任です。
技能実習期間満了まで責任を持って教育をしてください。
時々、磨いてもいないのに技能実習生を無能と判断する人がいます。
光輝く原石も、磨かなければただの石です。
もちろん磨く人の能力も高い水準を求められます。
協同組合の人に面接を委託するのはダメなの?
企業としてそれで良いのなら、誰が面接をしても差し支えありません。
ただ、もし有能ではない人を採用されたとしても、文句を言う権利はありません。
自分で面接をする時間が無いから、という理由で協同組合に委託する人は、人員を採用するにあたっての重大な面接という時間も作れない人なので、外国人技能実習生の面倒を見る時間も作れないでしょう。
自分で面接をする自信が無いから、という理由で協同組合に委託する人は、そもそも使用者としての資質が欠けているのでしょう。
どちらにしても、その程度の理由で面接を協同組合に委託するのであれば、外国人技能実習生を採用するのはおやめになったほうが良いです。
求めている能力を持ち合わせている外国人技能実習生を見出すのに欠かせないのは面接です。
面接で知りたいことは何なのか、どれぐらいの能力を求めているのかを明確にして、面接希望者を募りましょう。
面接が終了した後は、その場ですぐに合否通知を行い、採用が決定した人は日本語学校への入学手続きに入ります。
日本語学校の入学金は、安いところでも30万円、高いところなら100万円ぐらいになると聞いています。
このお金を技能実習候補生が工面して支払うのですから、いかに彼らが本気で採用されたいかがお分かりになるでしょう。
給与を支払う企業側も、本気で面接に挑んでみてはいかがでしょうか。
以上、タイル工事屋が有能な外国人技能実習生を採用できた方法とは?、でしたー。